デジタル製品においてはさまざまな製品のコモディティ化が進み、多くの企業がハイエンド製品に絞り込む戦略を取ってきた。しかし、これらの取り組みはうまくいかなかったケースが多い。
十時氏は「デジタル化により、製品がコモディティ化し“上に逃げる”ということは多くのカテゴリーで既にあったことだ。しかし、気付けばハイエンド市場そのものが消滅し、企業として立ち行かなくなるということが起こっていた。スマートフォンでも同様のことは起こり得る。当面は、高価格製品をオペレーター市場で販売することに注力するが、数年遅れでオープン市場の波が来るのは明らか。今勝てる市場として、ビジネスができている間に次のビジネスを用意しないとだめだ。過去の失敗を謙虚に反省した上で、取り組んでいく」と話している。
また、ハイエンド市場でも競合が数多く存在するが、それについては「ソニーの技術で差異化を図っていく。例えば現状では、センサーやカメラモジュールでは強みを示せている。今後は技術開発と製品開発をシンクロさせる形で中長期を視野に入れた開発を進めていく」(十時氏)としている。
また、これらの構造改革を進めた先には、ソニーの中で、スマートフォン事業はどういう位置付けを目指しているのだろうか。
十時氏は「通信機能を持った新たな一般製品という領域は今後さらに進化していく可能性がある。IoT(モノのインターネット)もあり、広い意味で今後のソニーのビジネスに深い関わりを持つビジネスだ。ただ、今の方法では事業リスクも高く成功の可能性は低い。構造改革はこれらの目的を達成するための手段だ。次の市場を作り出し、次の事業を作るためにやるものだ。最終的にはそこにチャレンジする。しかし、チャレンジするにはリスクに耐えられる構造が必要になるので、2015年度はまずは構造改革を進める1年とする」と語っている。
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