これらの市場分析を基に、具体的に展開する製品や組織の絞り込みを行うというのが、今回の構造改革の概要となる。具体的には地域ごとや製品ごとに変わってくるが、全体的には「現在ソニーが強い地域において、高付加価値モデルを、オペレータ経由で販売する」というのが主軸となる。
具体的には、以下の4つの点において、「集中と選択」に取り組む方針だ。
具体的には、現在世界13カ国に点在する営業拠点およびグローバル販売機能を持つ英国拠点、本拠地として開発機能などを持つ日本の拠点の3層構造を整理しスリム化を図る。
また、スマートフォンの開発コストが増大したことで、競合企業が50%程度のモデル数削減を実現し開発リソースを集中させる戦略を取っていた。しかし、ソニーでは削減率が30%にとどまり、収益悪化につながった。これを改善し、モデル数の削減と1モデル当たりの経営資源の集中に取り組む方針だ。
さらに、市場環境からソニーが強みを持つのは「成熟市場の高付加価値モデル」が明らかであるため、既存顧客の買い替えを重視する方針に転換。顧客データによるデータベースマーケティングを強化することで、2017年には継続購買率50%以上を目指すという。十時氏は「既に競合企業では50%以上の継続購買率を持つ企業がある。優れた先行者がいる場合はそれをベンチマークとし、同様のやり方を進めていく」と語っている。
また営業拠点や本社機能などの整理によりOPEX(Operating Expense、事業運営費)の30%の削減を実現し、損益分岐点の引き下げに取り組む。また粗利率も2〜3%の改善を進め「売上高が2〜3割下がっても利益が出せる体制にする」(十時氏)。
十時氏は「2014年度中に具体的な構造改革の計画を組み立て、2015年度は実際に構造改革を行い、その期間中に終わらせる。2016年度からは安定的に収益に貢献できる体制を構築したい。既に社長就任後、シニアマネジャークラスには、12カ月でトランスフォーメーション(事業変革)をやり切るというメッセ―ジを出した」と語っている。
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