紙運用や属人化から脱し製造現場を見える化、スマートフォンなどで確認製造IT導入事例

製造現場DXプラットフォーム「Smart Craft」を三恵技研工業が導入し、半年間で製造現場の見える化を達成。リアルタイムにデータを活用し、作業の平準化などの業務改善を速やかに実行できるようになった。

» 2025年07月11日 10時00分 公開
[MONOist]

 Smart Craftは2025年6月17日、製造現場DX(デジタルトランスフォーメーション)プラットフォーム「Smart Craft」を三恵技研工業が導入し、半年間で製造現場に起きた変化について明らかにした。

 Smart Craftを導入した三恵技研工業の戸田工場では、生産計画管理にExcelを使い、紙への手書きで実績を記録していた。繁忙期には1週間分の記録をまとめて記入することもあり、作業状況をリアルタイムに把握することが困難だった。

 また、担当者が異動すると業務引き継ぎに時間がかかるといった情報の属人化も問題になっていた。現場改善のために正確なデータを収集して集計しようと試みても、多くの時間と労力を要し、適切なタイミングで分析して改善施策の実行へとつなげられない状況だった。

キャプション 「Smart Craft」の利用イメージ[クリックで拡大] 出所:Smart Craft

 Smart Craft導入から半年がたち、各工程の進捗や設備の稼働状況を、タブレットやスマートフォンでリアルタイムかつ現場を離れていても確認できるようになった。紙の帳票を廃止し、現場で入力した内容をそのままデータ化することで、転記や集計にかかっていた作業負担が低減した。

 サイクルタイムや作業工数など、正確性の高いデータをリアルタイムに活用できるようになり、作業の平準化などの業務改善を速やかに短期間で繰り返し実施できるようになった。さらに、計画と実績の整合性が向上し、過剰な仕掛品や部材の在庫を削減できた。直感的なUIにより、日本語に不慣れな作業者でも円滑に業務を進められ、作業ミスの減少や教育コストの削減につながった。

 三恵技研工業は現在、Smart Craftをプレス工程中心に利用しているが、今後は溶接や仕上げ、検査など、他の工程で導入することも視野に入れている。検査成績表などの品質管理業務への応用も検討中だ。今後、受注と同時に納期を即答できて、一品単位で原価や収支を把握できる仕組みの構築を目指すとしている。

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