矢野経済研究所は2025年の偏光板と部材フィルムの世界市場に関する調査の結果をまとめた調査レポートを公開。同レポートでは2025年の偏光板世界生産量が前年比5.0%増の6億6340万m2まで拡大すると予測した。
矢野経済研究所は2025年6月10日、偏光板と部材フィルムの世界市場に関する調査レポートを公開したと発表した。
今回のレポートによれば、2024年の偏光板世界市場は、大型テレビ向けの偏光板の需要が市場をけん引し、2桁成長を達成。前年比12%増の6億3205万m2になったと推計した。
その背景には、在庫不足に備えて生産需要が高まり、テレビパネルの生産稼働率が大幅に回復したことが挙げられる。特に中国では、大手メーカーを中心に稼働率が90%以上に達した。台湾や日本のメーカーでも稼働率を上げたため、生産量が拡大。同年下期(7~12月)に入ってからも大きな落ち込みはなく、需要と生産量は高水準を維持した。
2025年の偏光板世界生産量は前年比5%増の6億6340万m2になると予測した。中国の大規模な補助金政策の対象となる電子デバイス機器や省エネテレビ、高透過型テレビなどが市場をけん引する。米中対立やトランプ関税の影響が注目されるが、中国ではトランプ関税の前倒し需要で同年2月下旬~3月にテレビパネルやスマートフォンの前倒し出荷が生じたものの、偏光板需要拡大への影響は少なく、上半期(1~6月)の多くは補助金向けの需要だった。
補助金政策は同年末まで続き、中国におけるテレビパネルの生産は第2四半期(4~6月)にフル稼働に達する勢いで拡大する。6月のEC(電子商取引)セール「618商戦」をピークに生産がいったん落ち着くが、年末年始に向けて再び生産が活発化し、1年を通して堅調な需要が続くと予測する。
2026年以降の市場については、近年の高成長の反動から、面積ベースではプラス成長になっても、2桁成長は考えにくいとする。2025年下期以降にトランプ関税の影響が出るとみられるが、中国は補助金政策を2026年以降も何らかの形で継続すると思われ、この動きが偏光板マーケットの成長拡大につながる可能性もあるとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.