パナソニック インダストリーは、透明導電フィルム「FineX(ファインクロス)」を用いて、製品化した「FineX 透明電磁波シールド」を2025年内に発売する。
パナソニック インダストリーは2025年7月15日、報道陣による合同取材に応じ、透明導電フィルム「FineX(ファインクロス)」を用いた「FineX 透明電磁波シールド」を開発および製品化したと発表した。発売は2025年内を予定している。
FineXは、メタルメッシュタイプの透明導電フィルムで、独自の製造技術「ロール to ロール 一括両面配線」により高い透過率と低いシート抵抗値を実現している。ロール to ロール 一括両面配線は、フィルムに溝を形成した後、この溝に配線幅が2μmで従来品より厚みがある金属線を取り付けることで高い透過率と低いシート抵抗値を可能としている他、0.74という優れたアスペクト比を達成している。用途としては、透明電磁波シールド、透明アンテナ、透明ヒーターなどを想定している。
一方、近年は電子機器や高周波化/通信規格が増加している他、電磁波によるモビリティーと医療機器の誤作動防止が求められているため、電磁両立性(EMC)に関する規制強化が進んでいる。国内企業はFA機器や工場、サーバラックにおける電磁波対策で、電磁波シールドフィルムとして金属箔付きフィルムと酸化インジウムスズ(ITO)フィルムを使用している。しかし、金属箔付きフィルムはシールド性能が高く透明度が低いという問題があり、ITOフィルムはシールド性能が低く透明度が高いという課題があり、用途は限られる。
そこでパナソニック インダストリーはFineX 透明電磁波シールドを開発した。パナソニックインダストリー メカトロニクス事業部 ファインコンポーネントビジネスユニット ファインエレメント総括部 技術部 部長の野並勇治氏は「当社ではこれまで、FineXを用いた透明電磁波シールドをカスタム品として販売していた。FineX 透明電磁波シールドは規格品として開発した」と語った。
FineX 透明電磁波シールドは、剥離用の保護フィルム、銅配線が行われた厚み50μmのFineX、光学透明粘着フィルム(OCA)から成る。フィルムの基材はPETで、粘着層はOCAとなる。シート抵抗は1.5Ω/sq.(オームパースクエア)で、可視光透過率は83%、開口率は92%、線幅は2.4μmだ。使用時には表面の保護フィルムを剥がして、保護カバーや窓などにOCA面を貼る。
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