パナソニック インダストリーは、電磁波シールド材のシールド効果を測定する手法「近傍界KEC(Kansai Electronics Research Center Method)」を用いてFineX 透明電磁波シールドの性能を検証した。その結果、回路やモーター、液晶などの電磁波ノイズである周波数100k〜1000MHz帯で高い電界シールド性能を発揮することが分かった。「100k〜1000MHz帯の電磁波を99.9%抑えられることが判明している」(野並氏)。
試験方法規格「ASTM-D4935」に準拠した電磁シールド効果測定法により、周波数500M〜18GHz帯でも良好な電界シールド性能を発揮することも確かめた。加えて、材料の誘電率や透磁率を評価する方法「フリースペース法」で、18G〜40GHz帯でも電磁シールド効果を発揮することも確認した。
用途としては、FA機器、RFID、工場窓、サーバラックの電磁波対策を想定している。パナソニックインダストリー メカトロニクス事業部 ファインコンポーネントビジネスユニット FAE部 FAE二課の木庭栄史郎氏は「電磁波ノイズ規格が厳しいFA機器の窓などにFineX 透明電磁波シールドを使用することで、電磁波対策を行いつつ内部を確かめられるようにできる。RFIDを用いた検品作業などでは、電磁波ノイズ対策で金属箔付きフィルムを備えた仕切りが使用されており、仕切りの内側を確認できないケースがある。この解決策として、FineX 透明電磁波シールドを貼った仕切りを利用すれば、電磁波ノイズを遮断しつつ、仕切りの内側を確認できる環境を作れる」と語った。
また、工場内の窓にFineX 透明電磁波シールドを貼り付けることで施設外への電磁波ノイズ漏えいを防げる。データセンターなどでサーバラックが設置された部屋の窓にFineX 透明電磁波シールドを取り付けると、サーバにおける電磁波の影響を抑えられ、安定したネットワーク環境を構築できる。
今後は、FA機器やRFID、工場窓、サーバラック向けの電磁波シールド用途を中心にFineX 透明電磁波シールドを展開する。野並氏は「2028年度にFA機器向けで10億円の売上高を目指す」とコメントした。
会場では、FineX 透明電磁波シールドを貼り付けた箱、金属箔電磁波シールドを取り付けた箱、アクリル製の箱、アクリル台、RFIDタグ付きサンプル「商品A」「商品B」「商品C」、RFIDアンテナなどを活用して、「RFID干渉防止」に関するデモンストレーションが行われた。
RFID干渉防止のデモンストレーションでは、物流倉庫などを想定し、RFIDアンテナで誤検知を抑えつつ商品Cのみを検知することを目指した。まずアクリル台の上に商品A、B、Cを並べた。次に、その状況でRFIDアンテナでアクリル台の対象範囲をセンシングすると、商品A、B、Cの全てが検出されてしまう。その後、金属箔電磁波シールドを取り付けた箱の中に商品Cのみを格納した。RFIDアンテナでアクリル台の対象範囲を感知して、商品Cのみを検知できたが、非透明のため箱の内側が見えない。そこで、FineX 透明電磁波シールドを貼り付けた箱に商品Cのみを入れた。RFIDアンテナでアクリル台の対象範囲をセンシングし、商品Cのみを検知できた。さらに、箱の内側が見えるため、目視でも正しくCがあるということが確認できた。
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