筑波大学は、入手が容易なマグネシウム金属と多孔質グラフェンを用いて、高性能かつ繰り返し使用可能な全固体マグネシウム空気二次電池を開発した。
筑波大学は2026年2月16日、入手が容易なマグネシウム金属と多孔質グラフェンを用いて、高性能かつ繰り返し使用可能な全固体マグネシウム空気二次電池を開発したと発表した。
研究ではまず、塩化に強い耐性を持つ正極として、窒素元素を化学ドープした多孔質グラフェンを開発。負極に市販のマグネシウム、電解質に塩化マグネシウムを浸み込ませた市販のポリマーゲルを組み合わせ、全固体マグネシウム空気二次電池を作製した。
電気容量1000mAh/gを基準値とした際の定電流充放電サイクル試験を実施したところ、同電池の充放電速度は500mA/gで、700時間以上の充放電が可能であることが分かった。同条件時の定電流充放電曲線を見ると、ほぼ全ての定電流充放電曲線で平坦な充放電電圧を維持していた。これは、電池としての動作が安定していることを意味する。
また、高速充放電に対応するほか、低速充放電に戻しても初期と同等の性能を保持できた。0〜120度の角度に曲げた状態でも液漏れがなく、どの角度に曲げた状態でも、再度0度に戻しても、初期状態とほぼ同等の充放電性能を示した。これらの結果から、既存のリチウム空気電池より1.5〜2倍の放電容量を持ち、高いサイクル特性(寿命)と電気容量を両立することが明らかとなった。
こうした性能を発揮するメカニズムを検討するため、完全放電に対して半分放電時、完全放電時、完全充電時の状態を調査した。その結果、完全放電時に存在する放電物質として酸化マグネシウムを生成しており、窒素が反応活性点になっていることが示唆された。
半分放電時にはグラフェン膜上にフィルム状の放電物質を確認でき、完全放電するとグラフェン内のチューブの直径が肥大化した。この肥大化は、放電物質がチューブ内部のほか外側にも生成していることを意味し、他の金属空気電池よりも大きな電気容量を得られたと考えられる。完全充電時に放電物質が残存すると電池の劣化が進むことから、同電池は放電物質を完全に分解しており、長寿命になったと考えられる。
マグネシウム空気二次電池は、安価に大容量電池を構成できる一方、塩素イオンを含有するため、内部で塩化による性能低下の課題を持つ。今回の成果は、二次電池の用途拡大や資源リスク分散に貢献するほか、リチウム系二次電池以外の新たな選択肢を提示すると期待できる。
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