進化を止めない車載ネットワーク、第3世代CANが登場し車載SerDesは12Gbpsへオートモーティブワールド2026レポート(1/3 ページ)

「オートモーティブワールド2026」の構成展の一つである「第18回 [国際]カーエレクトロニクス技術展」で披露された、車載ネットワークをはじめとするカーエレクトロニクス関連の展示レポートをお送りする。

» 2026年02月16日 08時00分 公開
[関行宏MONOist]

 2026年1月21〜23日、クルマの先端テーマの最新技術を集めた「オートモーティブワールド2026」が東京ビッグサイトで開催された。本稿では、オートモーティブワールド2026の構成展の一つである「第18回 [国際]カーエレクトロニクス技術展」で披露された、車載ネットワークをはじめとするカーエレクトロニクス関連の展示を紹介する。

「CAN XL」の市販車搭載は2027年ごろから――ボッシュ

 ボッシュは「CAN XL」互換のトランシーバーIC「NT156」のプロトタイプを展示した(図1、2)。

図1 図1 円のところがCAN SIC XLトランシーバー「NT156」のプロトタイプ。ケーブルはCAN FDと同じ非シールドツイストペアである。なおSICとは信号のリンギングを抑えるSignal Improvement Capability(信号改善機能)の略で、CAN FDから採用されている技術だ[クリックで拡大]
図2 図2 NT156の説明パネル。右下にあるようにパッケージは3mm×3mmのHVSONSパッケージで提供される。左下には「SOP planned for 2027」(完成車両の量産出荷は2027年)の文字が見える[クリックで拡大] 出所:ボッシュ

 CAN XLはCANプロトコルの第3世代に当たる規格で、ISO 11898-2-2024として標準化されている。データ転送速度は最大で20Mbpsである。オリジナルのCANのデータ転送速度は最大1Mbpsで、第2世代のCAN FDは最大5Mbpsだった。

 車載ネットワークとしてイーサネットの採用が広がっているが、データ転送速度が100Mbpsの100BASE-T1と、CANあるいはCAN FDとの間を埋める10Mbpsクラスのネットワークが求められていて、このCAN XLも候補の一つである。

 CAN XLのプロトコルは既存のCANおよびCAN FDと互換性があり、データレートは一部制限されるものの、同じ物理層(ケーブル)にCAN FDノードとCAN XLノードを混在させることもできる(既存のCAN FDノードはCAN XLプロトコルには応答しない)。すなわちCAN FDに対応したECUをそのまま流用できる。また、CAN XLではデータ長が2048バイトにまで拡張されていて、最大1500バイトのイーサネットパケットを分割せずにトンネリングできるのも特徴である。そこで、これまで培ってきたCANの資産やノウハウを生かしつつ、イーサネットとの親和性が高いことをうたう。

 今回の展示ではボッシュが開発を進めているCAN XL対応のトランシーバーICであるNT156のプロトタイプチップを用いて、IPカメラ映像をトンネリングで中継して液晶ディスプレイに表示するデモを行った。基本的には2024年11月にドイツで開催された「electronica 2024」における展示と同じ内容である。なお、試作基板上のNT156チップは10×10mm程度のサイズだが、製品は3×3mmのHVSONSパッケージで提供される予定だ。

 市販車への搭載は早くても2027年以降を見込んでいるという。ボッシュは開発ツールベンダーとも連携を進めているそうで、いわゆるエコシステムが整備されつつある状況だ。

GMSLのテストソリューションを披露――ローデ・シュワルツ

 ドイツの測定器メーカーであるローデ・シュワルツは、アナログ・デバイセズが開発し、2025年6月に標準化団体のOGA(OpenGMSL Association)に技術移管されたGMSL(ギガビットマルチメディアシリアルリンク)のコンプライアンステストソリューションを展示した(図3)。

図3 図3 ローデ・シュワルツのベクトルネットワークアナライザ「R&S ZNB3000」を用いたGMSLのコンプライアンステストシステム。ケーブルやコネクターで構成されるGMSL伝送路の評価を行う。テストプログラムの開発はグラナイトリバーラボ・ジャパンが協力した。アナライザーの上にGMSLの基板2枚が乗っているのが見える(展示では基板への通電はなし)[クリックで拡大]

 ローデ・シュワルツは2024年12月にGMSLのテストに関してアナログ・デバイセズとの協業を発表し、さらに2026年1月にパートナーシップのさらなる強化を発表している。今回の展示はその一環として行われた。

 GMSLは映像信号の伝送を目的に開発されたシリアルバス(SerDes)で、第2世代のGMSL 2で6Gbps、最新の第3世代のGMSLで12Gbpsの伝送が可能である。ADAS(先進運転支援システム)などの進化を背景に自動車に搭載されるカメラの台数が増加しているが、GMSLを使えば安定的な伝送ができるとして、自動車メーカーの採用が広がっている。

 GMSLは非シールドのツイストペアケーブル(UTP)を使用するが、データレートが高いため、ケーブルやコネクターを含めた伝送品質が課題になる。

 ローデ・シュワルツのテストソリューションは、ベクトルネットワークアナライザ「R&S ZNB3000」シリーズを用いて伝送路がGMSLの仕様を満たしているかどうかを判定するシステムである。なお、R&S ZNB3000シリーズの周波数帯は9k〜54GHzだが、展示では9k〜9GHzで4入力のR&S ZNB3004を用いていた。ちなみにR&S ZNB3000シリーズはGMSLのレファレンス測定器として使用されているという。

 アイパターンの判定を含むテストプログラムの開発は、高速信号のエンジニアリングサービスや認証試験を行っているグラナイトリバーラボ・ジャパンが協力した。同社の本社は米国カリフォルニア州にあり、車載イーサネットの10BASE-T1Sのコンプライアンスソリューションなども提供している(図4)。

図4 図4 車載イーサネットである10BASE-T1Sのテストシステムも展示されていた。Open Allianceが定めるTC10およびTC14に対応する。画面はWUT(ウェイクアップトーン)を含むWUP(ウェイクアップパルス)をキャプチャーした様子。このテストセットアップもグラナイトリバーラボ・ジャパンが手掛けた[クリックで拡大]

 ローデ・シュワルツはこれらのソリューションを、GMSLを使ったシステムを開発するサプライヤーや完成車メーカーに提案していく考えだ。

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