TOPPAN×東京消防庁! 急増するバッテリー火災を防ぐ次世代消火器具とは材料技術

近年、モバイルバッテリーや電動自転車などのリチウムイオン電池による火災が急増し、同電池で生じる熱暴走への対策が求められている。この課題解決に向け、TOPPANホールディングスは東京消防庁と共同で、特殊なフィルムを用いた「三位一体型簡易消火器具」の開発を推進している。

» 2026年05月28日 06時15分 公開
[遠藤和宏MONOist]

 TOPPANホールディングスは2026年5月27日、東京消防庁が公募する「東京消防庁INNOVATION PROJECT」の公募テーマ「リチウムイオン電池対応型消火薬剤・消火資器材の研究開発」において、企画提案書「三位一体型簡易消火器具の研究開発」で採択されたと発表した。

5月26日の契約締結式の様子 5月26日の契約締結式の様子[クリックで拡大] 出所:TOPPANホールディングス

 東京消防庁INNOVATION PROJECTは、東京消防庁の行政課題の解決に貢献する可能性がある先端技術などの導入検討を行うに当たり、関連する先端技術などの研究開発、情報収集に協力する民間企業などを広く募集するプロジェクトだ。

2028年3月までに三位一体型消火器具の実現を目指す

 近年、モバイルバッテリーや電動モビリティの普及が進む一方、安全面の課題もあり、リチウムイオン電池(LIB)起因の火災が急増している。しかし、従来の消火器ではLIB特有の熱暴走による火災をいったん鎮めた後の再燃を防ぐことが困難という課題がある。熱暴走は、電池内部の化学反応による異常発熱が連鎖する現象だ。従来の消火器では内部の高温を冷却できないため、時間の経過とともに何度も再燃する可能性がある。

 TOPPANは2021年2月から、火災発生時の熱に反応して、消火効果のあるエアロゾルを放出する「消火フィルム」を電池メーカーや電機メーカー向けに販売している。

 この消火フィルムは、消火効果の高いエアロゾルを放出する消火剤に、TOPPANのコーティング技術と透明蒸着バリアフィルム「GL BARRIER」を組み合わせることで、長期設置も可能な優れた初期消火効果を持つフィルムとして開発された。

 リチウムイオン二次電池のケース内や、配電盤/分電盤設備の内部に同製品を貼ることで、電池内の不具合や配電盤の配線ショートにより発火した時の初期消火や、延焼抑制に高い効果を発揮する。同時に人体や環境に悪影響のある物質を使用しておらず、消火の際に有害なガスも発生しない。

 今回の公募において三位一体型簡易消火器具の研究開発が採択された結果、TOPPANの消火フィルムに、吸熱素材と、耐火素材を組み合わせることで、「初期消火」「冷却による熱暴走抑制」「延焼遮断」の三位一体型簡易消火器具の開発を行う。

「三位一体型簡易消火器具」のイメージ画像 「三位一体型簡易消火器具」のイメージ画像[クリックで拡大] 出所:TOPPANホールディングス

 この開発では、「三位一体型簡易消火器具の防御構造の開発」「東京消防庁との連携」を実施する。「三位一体型簡易消火器具の防御構造の開発」では、TOPPANの消火フィルムを軸として、吸熱素材、耐火素材を組み合わせた多層構造を検証する。消火フィルムは、熱にさらされると消火成分を自動放出し炎を消す。吸熱素材は温度上昇を抑え、熱暴走の連鎖を防ぐ。耐火素材は可燃ガスと火花を閉じ込め、周囲への延焼を遮断する。

 「東京消防庁との連携」では、東京消防庁の実験施設を活用し、モバイルバッテリーや電動自転車などで利用する大型LIBを用いた燃焼試験および安全管理された開発を共同で進める。さらに、消防職員の専門的な知見に基づき、試作品の性能や操作性に対するフィードバックと有効性の評価を共同で推進する。

 TOPPANホールディングスは今回の採択による研究開発で、2028年3月までに三位一体型消火器具の実現を目指す。

 2028年度以降は一般家庭への普及に加え、鉄道、シェアサイクル、商業施設といった公共/商業インフラへの初期対応用標準装備としての導入を推進する。さらに、消防隊員の安全を守るプロ仕様モデルの展開も並行して進め、多角的なアプローチでLIB製品による火災の被害の極小化を目指す。

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