日本原子力研究開発機構は、結晶構造が左右対称なウラン化合物「URhSn」で、電子の配列だけがカイラリティを持つ新しい電子秩序を発見した。電子由来のカイラリティを利用することで、光や電流、磁場による高速な機能制御が期待される。
日本原子力研究開発機構(JAEA)は2026年7月28日、結晶構造が左右対称なウラン化合物「URhSn」で、電子の配列だけがカイラリティを持つ新しい電子秩序を発見したと発表した。東北大学との共同研究によるもので、光などによる高速な機能制御が可能となり、新しい光学機能材料やスピントロニクス材料への展開が期待される。
カイラリティとは、右手と左手のように、鏡に映した像が元の像と重ならない性質のことをいう。これまで物質のカイラリティは、構造そのものが左右非対称の場合のみ生じると考えられてきた。
JAEAでは、結晶構造は左右対称のままでも、電子の配列だけが左右非対称になる「純電子的カイラリティ」の概念を提唱し、候補となる物質の探索を進めてきた。今回、ウラン(U)、ロジウム(Rh)、スズ(Sn)で構成される化合物「URhSn」に着目し、単結晶の試料を核磁気共鳴(NMR)法で調べた。
URhSnの結晶構造にカイラリティは存在しないが、−219℃以下の低温になるとウラン原子周りの電子分布に方向性が生じた。その並び方全体が、左右非対称のカイラリティを持つ新たな電子状態「カイラル反強四極子秩序」を形成することが分かった。
今回発見した電子由来のカイラリティは、電子だけが応答するため、高速な機能制御が可能となる。今後は、光や電流、磁場を用いて電子の利き手(カイラリティ)を制御する手法の確立を目指す。また、ウランを含まない物質で、同様の性質があるかを探索する。
ウラン系超電導体の超純良単結晶で新たな超伝導状態を発見
常温簡単にプルトニウムから半永久電源の熱源を分離回収
ウラン活物質蓄電池 LED照明を点灯
核融合発電とは? 優位性や安全性などの基礎を解説
日本にもう1つの太陽を! Helical Fusionと安藤ハザマがタッグCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
コーナーリンク