日本にもう1つの太陽を! Helical Fusionと安藤ハザマがタッグ材料技術(1/2 ページ)

「日本にもうひとつ太陽をつくろう。」――これを合言葉に、核融合発電プラントの社会実装を目指すHelical Fusionが、建設のプロフェッショナルである安藤ハザマとの協業を発表した。

» 2026年07月27日 07時15分 公開
[遠藤和宏MONOist]

 Helical Fusionは2026年7月6日、東京都内とオンラインで記者会見を開催し、主導するヘリカル型核融合炉の実用発電計画「Helix Program(ヘリックス計画)」の公式パートナーとして、安藤・間(以下、安藤ハザマ)が新たに参画したと発表した。併せて、2030年代に稼働が予定される発電初号機「Helix KANATA」の建設に関して、両社による基本合意書を締結したことも明かされた。

大事なのは核融合発電所の建設

 Helical Fusionは、核融合発電(フュージョンエネルギー)炉の社会実装を目指している。核融合発電は、超高温かつ高密度の環境に水素同位体を閉じ込めることで生じる核融合反応で発生する大きなエネルギーを発電に活用する次世代型の発電方式となる。

核融合と核分裂の違い 核融合と核分裂の違い[クリックで拡大] 出所:Helical Fusion

 具体的には三重水素や重水素を超高温かつ超高圧で加熱しプラズマ状態として双方の原子核を衝突させ合体させることで核融合反応を起こし中性子を発生させ、その中性子からブランケットを通して熱エネルギーを抽出し発電に利用する。なお、重水素と三重水素の核融合は同じ質量の石油の燃焼と比べて約1500万倍のエネルギーを創出するとされている。

核融合発電所の仕組み 核融合発電所の仕組み[クリックで拡大] 出所:Helical Fusion

 Helical Fusionは、核融合科学研究所(NIFS)や京都大学などの技術基盤を基にヘリカル型核融合炉の開発を進めている。既に小型装置を用いてヘリカル型核融合炉の概念実証を完了している他、大型ヘリカル装置(LHD)によりプラズマ温度1億℃でプラズマ保持時間3000秒以上を達成している。同社では既に、ヘリカル型核融合炉の開発で必要なプラズマの実証や炉の設計もほぼ完了しているという。

 ヘリカル型核融合炉は、ヘリカルコイル、プラズマ、ポロイダルコイルなどから成り、トカマク型と比べてプラズマ性能は劣るものの、プラズマ保持時間が長く恒久的な稼働に適している。さらに、1億℃の水素ガス(プラズマ)を閉じ込めるために複数のらせん状のヘリカルコイルを使うタイプを指す。ヘリカルコイル自身をらせんにすることで、電流が作る磁場を重畳させて磁場を捻(ひね)る。このように、磁場の籠でプラズマを閉じ込める方法を「磁場閉じ込め方式」と呼ぶ。

実用発電までのロードマップ 実用発電までのロードマップ[クリックで拡大] 出所:Helical Fusion

 同社が推進するヘリックス計画では、「日本にもうひとつ太陽をつくろう。」を合言葉に掲げ、2030年代の前半にヘリカル型核融合の最終実験装置「Helix HARUKA」を完成させ実証を完了することや、2030年代の後半に50〜100MWを発電するヘリカル型核融合の初号機「Helix KANATA」の試運転と実用発電を行うことを計画している。

「Helix HARUKA」の概要 「Helix HARUKA」の概要[クリックで拡大] 出所:Helical Fusion
Helical Fusion 代表取締役 CEOの田口昂哉氏 Helical Fusion 代表取締役 CEOの田口昂哉氏 出所:Helical Fusion

 Helical Fusion 代表取締役 CEOの田口昂哉氏は「Helix HARUKAが完成したら、Helix KANATAを建設する前に、各要素技術の検証が行える。Helix HARUKAの建設は、数百億円で行えるプロジェクトだ。さまざまな要素技術を1つのシステムで統合実証できるHelix HARUKAのような装置は、実は世界にもほとんどない。というのも、今までブランケットと呼ばれるパーツを実装した核融合発電炉の実証装置は、世界にまだないからだ」と語った。

 現在、Helix HARUKAは、コイル製作マシン(巻線機)を用いて、Helical Fusion独自の「曲げやすい高温超伝導導体」をらせん状に巻いて、高温超伝導コイルにする作業を進めている段階だ。

 また、日本政府が2026年6月24日に公表した「戦略17分野」には、フュージョンエネルギーも盛り込まれており、2040年度までに3兆1000億円の官民投資を見込んでいる。

 田口氏は「このようにフュージョンエネルギーが重要な分野であると政府は示している。足元で展開されている『フュージョンエネルギー発電実証推進事業補助金』は、2030年代に発電実証を実施した後、商業化に向けた発電実証を行い、社会実装を行う民間企業を対象としている。何が大事かというと、要素技術や部品ではなく、核融合発電所を建設することだ」とコメントした。

日本政府による後押し 日本政府による後押し[クリックで拡大] 出所:Helical Fusion
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