パワー半導体の熱問題に解、高熱伝導と低熱膨張を両立させた複合放熱素材材料技術

アドバンスコンポジットは、熱伝導率580W/m・Kという高い放熱性能と、低い熱膨張率を両立したグラファイトアルミ複合素材「ACM-H6」を開発した。

» 2026年09月15日 06時30分 公開
[遠藤和宏MONOist]

 アドバンスコンポジットは、「第5回ネプコンジャパン[秋]-エレクトロニクス開発・実装展-(ネプコンジャパン[秋]2026)」(会期:2026年9月9〜11日、会場:幕張メッセ)内の「第5回電子部品・材料EXPO[秋]」に出展し、グラファイトアルミ複合素材「ACM-H6」を披露した。

表面処理は無電解ニッケルメッキに対応

 ACM-H6は、溶湯鍛造法で多孔質グラファイトにアルミを含浸する技術を用いて、熱伝導率580W/m・Kを実現した材料だ。同材料の密度は2.30g/cm3で、熱膨張率はX方向で2.9/Y方向で22.0ppm/K、比熱は0.76J/g・Kとなる。製造サイズは80×80×30mmで、表面処理は無電解ニッケルメッキに対応している。

 同社の説明員は「熱伝導率が高いだけでなく、熱膨張率をかなり小さく抑えられる。これが特徴だ。一般的に、こうした材料は熱伝導が高いと熱膨張が大きくなる。この問題を解消した製品がACM-H6となる。当社は、特殊な鋳造方法でグラファイトとアルミを複合化することによって、特殊な物性を出せる。これにより、高い熱伝導率と低い熱膨張率を実現した」と語った。

 用途としては、パワー半導体、CPU/GPUの発熱拡散板、SiC(シリコンカーバイド)モジュール周辺のヒートスプレッダ、LED、レーザー、通信機器、電源ユニットの放熱ベースプレートを想定している。

「ACM-H6」を加工して製造した放熱部材 「ACM-H6」を加工して製造した放熱部材[クリックで拡大]

 「特殊な製造方法で生産する素材であるため、従来の放熱材料と比較してコストは高い。しかし、それでもACM-H6を使いたいという企業が少なからずある。ハイエンドな製品において、ACM-H6でしか要求仕様を満たせない部分で使用してほしい」と同社の説明員は述べた。

ACM-H6のブロック ACM-H6のブロック[クリックで拡大]

 量産性の課題として、同社の説明員は「鋳造で複合材のブロックを製造した後、切り出して加工するため、ワンショットのサイクルが速いわけではない。これは課題だ」と触れた。

 なお、2025年時点で熱伝導率800W/m・Kの実現も視野に入っており、これに向けて研究/開発を進めているという。

ACM-H6の仕様 ACM-H6の仕様[クリックで拡大] 出所:アドバンスコンポジット

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