アドバンスコンポジットは、高い熱伝導性と絶縁性能を備えた樹脂セラミック複合材料を開発し、特許を取得してサンプル出荷を開始した。
アドバンスコンポジットは2025年1月22日、高い熱伝導性と絶縁性能を備えた樹脂セラミック複合材料を開発し、特許を取得してサンプル出荷を開始したと発表した。
電子機器の回路基板の絶縁素材にはセラミックや樹脂が採用されている。このうちセラミック素材は、強度と絶縁性能が高く、電子回路の駆動時に発生する熱を外部に放出する際に重要な熱伝導性にも優れているため、発熱量の多いパワーモジュールや車載用LEDヘッドライト、ヘッドアップディスプレイなどに使用されている。
一方、樹脂素材は軽量で製造や調達が比較的容易で低コストであることから、PCやスマートフォンなどの電子機器、家電、インバーターなどで多用されており、セラミック基板が用いられている市場でも樹脂基板がシェアを拡大している。しかし、電子機器などで高性能化と小型化が進む中で、「熱伝導性」に弱点がある樹脂素材は、これまで以上に効率的に放熱する性能が求められている。
こういった背景を踏まえて、アドバンスコンポジットが開発した今回の複合材料は、セラミック素材と樹脂素材の優れた特性を生かし、高熱伝導性と高い絶縁性能/強度を実現した。セラミック素材よりも製造が容易なため、調達期間の短縮や調達コストの低減が期待できる。さらに、一般的な樹脂よりも熱伝導率が高いため、絶縁基板としての放熱性能が向上し、製品の信頼性アップに貢献する。
同材料の密度は1m3当たり1.85gで、比熱は0.75〜0.80J/kg・K、熱伝導率は18〜20W/m・Kとなる。
インドの調査会社であるFORTUNE BUSINESS INSIGHTSのレポートによれば、プリント基板の世界市場は、2023年が約697億ドル(約10兆8000億円)で、2032年までに約1135億米ドル(約17兆8000億円)に成長すると予測されている。
高熱伝導のプリント基板のニーズが高まる中で、アドバンスコンポジットは開発した今回の複合材料を電子機器の金属絶縁基板材料として早期に展開していく計画だ。まずはパワーモジュール市場にターゲットを絞り、3年後には量産体制を構築しその際に売上高10億円、5年後に売上高100億円を目指し、将来的にはプリント基板市場の10%のシェア獲得を目指す。
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