住友ベークライトは、SiCパワーモジュール向けに業界最高水準のガラス転移温度230℃を実現したエポキシ樹脂封止材料「EME-G785シリーズ」の量産を開始した。
住友ベークライトは2026年6月1日、次世代のシリコンカーバイド(SiC)パワーモジュール向けに業界初(同社調べ)となるガラス転移温度(Tg)230℃を実現した固形エポキシ樹脂封止材料「EME-G785シリーズ」を開発し、量産を開始したと発表した。
カーボンニュートラル社会の実現に向け、電動車(xEV)やデータセンター、再生可能エネルギー分野において、電力損失を大幅に低減できるSiCパワー半導体の採用が加速している。しかし、SiC半導体は200℃以上での動作が可能な一方、それを保護する封止材料には従来の材料で実現困難な耐熱性が求められてきた。
従来、エポキシ樹脂のTgを200℃以上に高めようとすると、架橋密度が高くなることで弾性率(硬さ)が上昇し、ヒートサイクルにおける応力が原因の剥離やクラックが発生しやすくなるという課題もあった。そのため、高Tg材料は「Tgの値は達成可能でも、実用化が極めて困難」とされていた。
そこで同社は、EME-G785シリーズを開発した。EME-G785シリーズは、樹脂の主鎖骨格を剛直化し、架橋密度を最適化することで、エポキシ樹脂封止材料として業界最高クラスとなるTg230℃を達成した。これにより、SiCパワーモジュールの高温動作環境下でも物理的特性が維持され、長期的な絶縁信頼性を確保する。
一般的にエポキシ樹脂の高Tg化は弾性率が上昇するというトレードオフが課題になるが、EME-G785シリーズは最新の低応力化技術を用いることで、弾性率の上昇を抑制し低応力化を実現した。これによりパワーモジュール内部のひずみを最小限にする他、チップや基板からの剥離、樹脂自体のクラックを防止する。
さらに、高い耐熱性により、シンタリング材やはんだを用いた冷却器との接合が可能となり、放熱性の向上に貢献する。結果として、パワーモジュールの小型化(高出力密度化)を実現できる。
今後は、G785シリーズを次世代パワーエレクトロニクスの戦略製品と位置付け、2030年度に売上高100億円を目指す。
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