旭化成は、「sampe Japan 先端材料技術展 2025」で、「炭素繊維強化ポリアミド樹脂UDテープ」や「リサイクル炭素繊維(rCF)不織布による電磁波シールド材料」の開発品を紹介した。
旭化成は、「sampe Japan 先端材料技術展 2025」(会期:2025年12月3〜5日、東京ビッグサイト)に出展し、「炭素繊維強化ポリアミド樹脂UDテープ」や「リサイクル炭素繊維(rCF)不織布による電磁波シールド材料」の開発品を紹介した。
炭素繊維強化ポリアミド樹脂UDテープは、炭素繊維を一方向にそろえて、ポリアミド樹脂を含侵させたシート状の材料だ。炭素繊維が一方向にそろっているため、その方向に対して高い強度を備えている。重ねる角度を変えて複数の同材料を積層してプレス成形することで、さまざまな方向に強度を有した成形品を製作できる。特定の方向への強度を高めた成形品も作成可能だ。例えば、縦方向に大きな力がかかる部品を成形する際には、縦方向に同材料を多めに重ねることで、応じられる。
同材料では旭化成のポリアミド樹脂「レオナ」の中でも特殊なものを使用している。旭化成の説明員は「加熱によって溶融したときの粘性がとても低い状態になるレオナを利用している。これにより、炭素繊維の隙間へレオナがよく浸み込む。炭素繊維とレオナがよく密着し、互いが高度に一体化しているため、炭素繊維の補強効果が最大限に発揮されるようになる」と話す。
その上で、「このレオナは『溶ける、固まる』という挙動が制御されたものだ。一般的なポリアミド樹脂と同様にレオナも熱可塑性で、成形加工時は加熱して溶かし、冷却して固めるという工程をとる。炭素繊維強化ポリアミド樹脂UDテープを重ねて加熱プレスして作る成形品では、炭素繊維強化ポリアミド樹脂UDテープ同士がよく接着する。炭素繊維強化ポリアミド樹脂UDテープと加熱溶融した材料を射出成形した成形品でも、高い接着性を保つ」と補足した。
なお、炭素繊維強化ポリアミド樹脂UDテープで採用されているレオナの成形条件は明かされていないが、非強化のレオナの成形条件に関して、樹脂温度は270〜290℃で、金型温度は75〜85℃となる。
同材料の用途としては、自動車部品、電気/電子部品、航空機部品、スポーツ/レジャー用品、建築材料を想定している。「短期的なターゲットとしては、フォルダブルスマートフォン(折りたたみスマホ)用の内部部品やスポーツ/レジャー用品、ロボット部品を見込んでいる。中長期的なターゲットは電気自動車(EV)のモーター周辺部品だ」(旭化成の説明員)。
折りたたみスマホは、折りたたんだときの厚みを抑えるために、内部の部品を薄くする必要がある。通常の樹脂で高強度を実現しようとすると厚みが求められるが、炭素繊維強化ポリアミド樹脂UDテープは薄いシート状でも炭素繊維により高い強度を備えている。さらに、スマートフォンの液晶ディスプレイの裏側に貼ることで、指で画面を押したときや、内部の基板やバッテリーとの干渉により生じる「微細なたわみ」を防ぎ、高価なディスプレイパネルを保護できる。
また、会場では炭素繊維強化ポリアミド樹脂UDテープを用いて製作されたEVモーターハウジングが展示された。EVモーターハウジングは、EVのモーター内部の部品を保護するとともに、熱を逃がし、振動を抑える役割を持つ外側の筐体だ。
旭化成の説明員は「あるEVで採用されている約50kgの金属製モーターハウジングを、樹脂と炭素繊維強化ポリアミド樹脂UDテープのみで製造したところ、重さが約5kgとなり、約10分の1の軽量化を実現した。複数の炭素繊維強化ポリアミド樹脂UDテープをリング状に成形した成形品により補強することで、樹脂単体と比較して約1.8〜2.1倍の剛性を達成している」とコメントした。
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