リチウムイオン電池部材市場は2024年に8000億円規模に縮小 車載用で供給過剰【訂正あり】製造マネジメントニュース

矢野経済研究所は、2024年のリチウムイオン電池主要四部材の世界市場規模を約8900億円と発表した。これは前年と比べて26.8%減となる。車載用電池市場の成長鈍化や供給過剰、価格競争激化が原因とみられる。

» 2025年07月08日 11時00分 公開
[MONOist]

 矢野経済研究所は2025年6月24日、リチウムイオン電池(LiB)主要四部材の世界市場に関する調査結果を発表した。2024年は、前年比26.8%減の616億117万1000ドル(約8900億円)と推計。車載用LiB市場の成長鈍化や供給過剰、価格競争激化が要因とみられる。主要四部材の出荷数量は前年より増加するものの、金額ベースでは2年連続で前年を下回る見込みだ。

【訂正】初出時に、タイトルに誤りがあったため変更しました。お詫びして訂正致します。また、矢野経済研究所の要望で本文の一部を削除しました。(2025年7月17日 15時10分)

キャプション リチウムイオン電池(LiB)主要四部材 世界市場規模推移と予測[クリックで拡大] 出所:矢野経済研究所

 用途別に見ると、車載用LiB世界市場は成長率が鈍化傾向にある。2024年も中国市場は前年並みの伸びを示すが、欧州、北米市場は前年を下回る。このため、車載用LiBの出荷容量も前年を下回る見込みだ。一方、民生小型LiB世界市場は2023年は減少したものの、2024年は需要回復で成長基調に転じると予想される。

 資源価格下落、車載用LiBの成長鈍化による供給過剰、価格競争激化の影響で、2023年に続き2024年もLiB主要四部材全てで価格下落トレンドが続いている。2024年は出荷数量は増加するものの、市場規模は2年連続で前年を下回る。正極材、電解液の価格下落幅は特に大きい。2025年も価格上昇の要因は見当たらないが、2026年以降は受給バランスや資源価格の動向次第では価格上昇の可能性もある。

 2024年のLiB主要四部材世界市場における国別出荷数量シェアは、中国が全部材で9割を超える。中国の主要メーカーは出荷数量ベースでは前年比プラスだが、成長率は停滞傾向にある。供給過剰による価格競争激化で、金額ベースでは前年割れの見込みだ。日系、韓国系メーカーは、利益確保のため出荷量調整を行い、2024年の出荷数量は横ばい、または前年割れとなる見込みだ。欧州のEV市場成長停滞も影響している。

キャプション リチウムイオン電池(LiB)主要四部材 世界市場規模 国別出荷数量シェア推移[クリックで拡大] 出所:矢野経済研究所

 LiB主要四部材世界市場では、2021年から2022年にかけて中国を中心に設備投資が加速し、2023年以降は供給過剰となった。そのため、価格競争が激化し、価格が下落している。xEV市場は長期的には緩やかに拡大すると予想されるため、いずれ車載用LiB需要が供給に追い付くと考えられる。

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