矢野経済研究所は、8種類のナノメートル領域材料を対象とした、ナノ材料の国内市場規模予測について発表した。2025年は1兆4117億円で、2050年には6兆8000億円へ拡大すると予測する。
矢野経済研究所は2025年4月28日、8種類のナノメートル領域材料を対象とした、ナノ材料の国内市場規模予測について発表した。2025年は1兆4117億円で、2050年には6兆8000億円へ拡大すると予測する。
2025年の同市場を種類別で見ると、ナノエレクトロニクス材料が43.0%を占め、ナノフォトニクス材料が23.3%と続く。ナノエレクトロニクス材料では、電子デバイスが限界近くにまで微細化されており、そのスピードは鈍化する一方で、消費電力の増加は継続する。高性能と低消費電力を両立させることが、ナノメートル領域の電子部品製造における主な課題だ。
2050年までを予測すると、ナノ材料の新規開発は容易ではないものの、AI(人工知能)や機械学習(ML)の駆使により新材料の発見が加速する可能性があり、今後もさまざまな発展が考えられる。また、新たなナノ材料開発の進展で、性能改善や新しいアプリケーションの開発につながる。これには、異なる物理的特性や電気的特性を保有する材料の探求が含まれる。ナノ材料開発は、新規高性能デバイスの開発に資する可能性があり、より小型化したトランジスタや高速で高効率のデバイスの登場によって、情報処理技術や通信技術の向上が期待される。
ナノテクロノジーと材料科学の発展には、さまざまな基盤技術が重要な役割を担っている。例えば、微細加工技術や積層造形などの製造技術は、ナノメートルスケールでの緻密な制御、構造の作製を可能にする。ナノメートルスケールの観察や分析ツールとしては、高分解能顕微鏡などの先端計測技術が重要となる。加えて、第一原理計算やシミュレーション、モデリングによる解析技術、データサイエンスなども欠かせない技術だ。
一方、エレクトロニクスの進展は、消費電力の増加というマイナス要素を生み出してきた。将来のエレクトロニクスデバイスは、高性能化に加えてエネルギー効率の向上も求められるとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.