デクセリアルズは、「第16回 高機能フィルム展 FILMTECH JAPAN」で、「マイクロLEDチップ対応の粒子整列型異方性導電膜(ACF)」のシートタイプと個片タイプや「低誘電特性を持つ熱硬化接着フィルム」などの開発品を紹介した。
デクセリアルズは、「第16回 高機能素材 Week −Highly-Functional Material Week−」(会期:2025年11月12〜14日、幕張メッセ)内の「第16回 高機能フィルム展 FILMTECH JAPAN」に出展し、開発品として、「マイクロLEDチップ対応の粒子整列型異方性導電膜(ACF)」のシートタイプと個片タイプや、「低誘電特性を持つ熱硬化接着フィルム」を紹介。併せて、「リフロー工程対応のファインピッチ接続用はんだ実装フィルム」をコンセプト提案した。
ACFは、ICチップや電子部品などを基板と接続して電子回路を形成するために用いられるフィルム素材だ。デクセリアルズの前身であるソニーケミカルが1977年に製品化し、現在ではスマートフォンやタブレット端末、高精細テレビなどのフラットパネルディスプレイを用いたデジタル機器のほぼ全てに回路接合のための材料として使われている。
一例を挙げると、ディスプレイの画面に映像を表示するためには、ICチップとディスプレイのガラス基板を電気的に接続し、多数の電子回路を形成する必要があるが、その接続に使われるのがACFだ。
粒子整列型ACFは、導電粒子、バインダーの樹脂、剥離フィルムで構成される。導電粒子は樹脂、導電層のニッケル、絶縁コートから成る。同製品は、粒子を意図する位置に配置できる他、独自開発の樹脂がこれら粒子の圧着時に起きる流動を抑える。このように粒子を安定的に捕捉できるため、導通性能に優れている。粒子面密度は小さく粒子量が少ないものの、端子ごとの粒子捕捉数のバラツキが小さく、かつ粒子面に均一に広がっている。
マイクロLEDチップ対応の粒子整列型ACFは、高密度に整列された導電粒子により極小電極で安定した粒子捕捉を実現する。シートタイプと個片タイプはマイクロLEDチップの実装プロセスが異なる。
シートタイプを用いた実装プロセスは以下の通りだ。まず剥離フィルムを剥がし、配線基板にラミネートする。次にスタンプヘッドでマイクロLEDチップを搭載する。続いて、加熱ツールでボンディングを行う。一方、個片タイプは、レーザーで配線基板にACFを転写する工程を除いてシートタイプと同じ実装プロセスになっている。
個片タイプの配線基板への転写では、デクセリアルズと信越化学工業が共同開発したプロセス技術を採用している。同技術は直径80μm以下に個片化した粒子整列型ACFをレーザーで狙った場所に転写できる。この技術により、指定された電極だけに個片化した粒子整列型ACFを転写し、マイクロLEDチップを搭載可能になるため、これまで課題となっていたマイクロLEDディスプレイ製造時のリペアープロセスが容易となる。
デクセリアルズの説明員は「シートタイプはマイクロLEDチップを実装しやすく安定性がある。個片タイプは現状、レーザーを用いた高度な転写技術が必要で実装は難しいが、ディスプレイの透明性を高められるため、透明ディスプレイなどでの活用に期待している」と話す。
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