低誘電特性を持つ熱硬化接着フィルムの開発品は、3層銅張積層板(CCL)の接着層として使えるもので、液晶ポリマー(LCP)と同等以上の低誘電性を安定して発揮する他、LCPと低粗度銅箔に対して十分な接着力を備えている。常温保管にも対応する。このフィルムは、透明なカバーフィルム、接着剤、剥離フィルムから成り、硬化システムにはエポキシを採用している。接着剤の厚みは15μmで、比誘電率(Dk)は2.32@10GHz、誘電正接(Df)は0.020@10GHz、接着力は10N/10mm(90回のピーリングテストで)、剥離フィルムの厚みは38μmとなっている。
基材と銅箔から成る2層両面CCLは、信号直下の基材の誘電特性が変化するため、伝送特性に影響しやすい。CCLの基板材料の1つとして使われる低誘電基材のLCPは難接着性があるため、2層両面CCLで利用する場合、銅箔面の粗化処理が必要で伝送損失が大きい。
一方、基材、低誘電特性を持つ熱硬化接着フィルム、銅箔で構成される3層両面CCLは、信号直下の接着層の誘電特性が安定し、より安定した伝送が可能だ。さらに、平滑な銅箔と熱硬化接着フィルムが低粗度銅箔とLCPと比べて良好な接着を実現しているので伝送損失を改善できる。
なお、Line/Space=50μm/50μm(20pairs)の評価基板で、低誘電特性を持つ熱硬化接着フィルムの絶縁性能を検査したところ、高温高湿環境下においてDC100Vで印可を行い、1000時間まで1×1010Ω以上の絶縁性能を確認した。
リフロー工程対応のファインピッチ接続用はんだ実装フィルムは、はんだ粒子を内包した熱硬化樹脂により、リフロー工程でファインピッチ(0.25mm程度)なはんだ接続と部品接着を実現する。加えて、フィルムの粘着性が部品の仮固定を可能とし、部品はリフロー工程の過程でセルフアラインメントされる。
同フィルムの利用手順は以下の通りだ。まずは接続端子が取り付けられた基板に同フィルムを貼り付ける。次に、同フィルムの粘着性により部品の仮固定を行う。続いて、リフロー工程で、同フィルムの樹脂が軟化し流動した後、はんだが溶け集まるとともに、セルフアラインメントされる。その後、樹脂が硬化する。
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