デクセリアルズ ACFや反射防止フィルムが好調で増収増益製造マネジメントニュース

デクセリアルズは、2025年3月期第3四半期の連結業績において、売上高が前年同期比8%増の871億6300万円で、事業利益が同12.6%増の318億6500万円になったと発表した。

» 2025年02月14日 06時30分 公開
[遠藤和宏MONOist]

 デクセリアルズは2025年2月13日、東京都内とオンラインで記者会見を開き、2025年3月期(2024年度)第3四半期の連結業績(4月1日〜12月31日)を発表した。

2025年3月期の見通しを上方修正

 2025年3月期第3四半期連結業績の売上高は前年同期比8%増の871億6300万円で、事業利益は同12.6%増の318億6500万円となった。同社 広報・IR部 統括部長の富田真司氏は「同期は蛍光体フィルムの販売が終了した一方で、コンシューマーIT製品向け差異化技術製品の拡大が継続したことや、為替が円安に推移したことなどにより、増収増益となった」と話す。

2025年3月期(2024年度)第3四半期の連結業績 2025年3月期(2024年度)第3四半期の連結業績[クリックで拡大] 出所:デクセリアルズ
主要最終製品の市場動向 主要最終製品の市場動向[クリックで拡大] 出所:デクセリアルズ

 セグメント別では、光学材料部品セグメントの売上高は同5.3%増の416億9600万円で、事業利益は同5.8%増の136億円3600万円となった。同セグメントは光学フィルムカテゴリーと光学樹脂材料カテゴリーから成る。光学フィルムカテゴリーでは、蛍光体フィルムの販売終了による影響があったが、反射防止フィルムはノートPC用ディスプレイ向け製品が好調だった他、自動車向け製品でも採用車種の拡大などによる数量の増加で増収。光学樹脂材料カテゴリーは、精密接合用樹脂や光学弾性樹脂などが堅調に推移し、増収となった。

 富田氏は「光学フィルムの売上高は同2%増となり、光学樹脂材料は同7%増となった。光学弾性樹脂は採用されているタブレット端末の販売が堅調で売上高は同6%増だった。精密接合用樹脂もスマートフォンでの新規採用があり売上高は同2%増となった」と語った。

光学材料部品セグメントの概況 光学材料部品セグメントの概況[クリックで拡大] 出所:デクセリアルズ

 電子材料部品セグメントの売上高は同10.5%増の460億円となり、事業利益は同18.3%増の182億2800万円となった。同セグメントは、異方性導電膜(ACF)カテゴリー、表面実装型ヒューズカテゴリー、フォトニクスカテゴリーで構成される。

 ACFカテゴリーでは、中国と韓国のスマートフォン向けに粒子整列型ACFの拡大が継続したことなどで増収に。表面実装型ヒューズカテゴリーでは、電動工具向けで在庫調整の底打ちがみられた一方で、スマートフォン向けが低調となり、前期並みとなった。フォトニクスカテゴリーでは、光半導体はセンサー向けが中国における需要回復の遅れの影響により減収となったが、通信向けが光トランシーバー向け製品の新規顧客への出荷開始により増収した。マイクロデバイスは新規案件の獲得などにより増収となり、カテゴリー全体では前期並みとなった。

 富田氏は「中国と韓国で価格がミドルクラスのスマートフォンでも有機ELディスプレイ(OLED)へのシフトが進んだこともあり、OLEDの接続用途で粒子整列型ACFの需要が拡大しACFカテゴリーの売上高は同20%増を記録した。表面実装型ヒューズカテゴリーの売上高は同10%増だった。フォトニクスカテゴリーの売上高は全体では横ばいだが、光半導体は同10%減で、マイクロデバイスは同10%増となった」と述べた。

電子材料部品セグメントの概況 電子材料部品セグメントの概況[クリックで拡大] 出所:デクセリアルズ

 これらの状況や2025年3月期第4四半期(2025年1月1日〜3月31日)における想定為替レートの円安への見直しを踏まえて、同社は期初に発表した2025年3月期の見通しを下記の通り上方修正した。

 売上高は期初見通しと比べて2.8%増の1100億円、事業利益は同10.4%増の370億円に修正。セグメント別では、光学材料部品セグメントでは売上高は同1%増の505億円で、事業利益は同3.7%増の140億円に修正した。電子材料部品セグメントでは売上高は同5.6%増の602億円で、事業利益は同15%増の230億円に修正した。

期初見通しを上方修正 期初見通しを上方修正[クリックで拡大] 出所:デクセリアルズ

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