矢野経済研究所は、偏光板と部材フィルムの世界市場に関する2024年の調査結果を発表した。大型TV向け偏光板需要が市場を下支えし、2桁成長だった2023年に続き、堅調に推移すると見られている。
矢野経済研究所は2024年6月7日、偏光板と部材フィルムの世界市場に関する2024年の調査結果を発表した。調査期間は同年2〜4月で、TFT-LCDパネル向け、AMOLEDパネル向け、PM-VAパネル向けの偏光板に加え、TN-LCDパネル向け、STN-LCDパネル向けを、メーカー生産量ベースで算出。市場動向や将来展望について考察した。
同調査によると、2023年の偏光板世界市場は、前年比114.2%の5億6445万m2と推計する。2024年は、前年比5.6%増の5億9580万m2となる見込みだ。2桁成長だった2023年に続き、堅調に推移すると見られている。
偏光板はディスプレイの主要部材のため、ディスプレイ市場に左右される。2023年から、TVパネルの主力生産インチが55インチ以上に大型化。2024年はボリュームゾーンである65インチをはじめ、75インチ、85インチの超大型パネルの生産が続いている。面積効果が大きい大型TV向け偏光板需要が、市場を下支えする予測だ。
偏光板メーカーの生産稼働率も、大型TVパネル向けを主軸に2024年2月ごろから大幅に回復している。CSOT、BOEなどを中心とした中国の大手TVパネルメーカーの稼働率は、2月末時点で90%以上に達しており、台湾や日本のTVパネルメーカーも稼働率が上昇。ディスプレイパネルメーカー、偏光板メーカーともに、同年5月末まではフル稼働が見込まれるが、同年7〜12月以降は徐々に稼働率が低下する見通しだ。
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