矢野経済研究所は、2023年下期の偏光板および部材フィルムの世界市場に関する調査報告を発表した。2023年の偏光板世界生産量は、前年比14.3%増の5億6465万m2になると予測している。
矢野経済研究所は2023年12月14日、2023年下期の偏光板と部材フィルムの世界市場に関する調査結果を発表した。TFT-LCDパネル向け、AMOLEDパネル向け、PM-VAパネル向け、TN-LCDパネル向け、STN-LCDパネル向けを対象に、メーカー生産量を基に算出した。
ディスプレイの主要部材となる偏光板の市場は、ディスプレイ市場の動向に左右される。2022年は、新型コロナウイルス感染症による巣ごもり特需の終了や景気悪化によるディスプレイ不況の影響を受け、偏光板の世界生産量は大幅に減少した。
2023年は65インチ以上の大型TVパネルの生産量が拡大したことから、第2四半期(4〜6月)から第3四半期(7〜9月)にかけて需要が増加した。しかし、同年10月以降は供給過剰による単価下落を防ぐため、中国系TVパネルメーカーを中心に生産を抑制。2023年の偏光板世界生産量は、前年比14.3%増の5億6465万m2になると予測している。
生産調整は、2024年第1四半期(1〜3月)後半まで続くと見込む。TV製品の新製品発売に向けた生産時期となる2024年第2四半期(4〜6月)から第3四半期(7〜9月)には、偏光板の需要が拡大する見通しだ。偏光板の面積拡大につながる75インチや85インチパネルの生産拡大により、2024年の偏光板世界生産量は前年比4.2%増の5億8825万m2に伸長すると推計している。
また、2024年より偏光板業界の再編が本格化すると予測する。増設を続ける中国系メーカーのShanjin(杉金光電)とHMO(恒美光電)の2社による生産能力は、2024年時点で4億m2を超える見込みで、需要の7割強をカバーする。一方で、一部のメーカーは生産ラインの閉鎖や事業を縮小する見通しだ。
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