3Dプリンタ材料の世界市場、2023年まで年平均21.2%で成長と予測:3Dプリンタニュース
矢野経済研究所は、3Dプリンタ材料の世界市場に関する調査結果を発表した。造形方法の技術革新、材料の多様化と高機能化、最終製品への適用拡大などの要因により、今後も伸長が続くと予測する。
矢野経済研究所は2020年1月7日、3Dプリンタ材料の世界市場を調査し、方式別動向や将来展望などを発表した。3Dプリンタ材料の世界市場規模(エンドユーザー購入金額ベース)は、2018年から2023年まで年平均21.2%で成長し、2023年には4750億6700万円になると予測する。
3Dプリンタ材料世界市場規模推移の予測(クリックで拡大) 出典:矢野経済研究所
同調査では、2018年の3Dプリンタ材料の世界市場規模は、前年比26.9%増の1813億4400万円と推計。海外を中心に、スピードや強度など造形方法の技術革新、3Dプリンタ材料の多様化と高機能化、造形品の最終製品への適用拡大といった要因により、大きく伸長している。
造形方法別の動向を見ると、材料押出(ME)法向け材料では、装置と材料の進化により用途やエンドユーザーの拡大が期待され、フィラメント(紐状材料)の市場規模は今後も高成長が続く見込みだ。粉末床溶融結合(PBF)法向け材料市場では、最終製品での需要が増えると予測する。一方で、装置メーカーの動きにより、造形方式間の競争が激化し、PBF装置向けの金属粉末の市場規模は、2020年以降に成長率が鈍化するとしている。
また、液槽光重合(VP)法、材料噴射(MJ)法向け材料市場では、需要は底堅く推移していくと見ている。
3Dプリンタは、造形方法の技術革新などに伴い、製造業の工作機械の位置付けに近づきつつある。しかし、試作品や治工具、少量多品種品、カスタマイズ品の造形などで強みを発揮するが、工作機械を置き換えるような存在には至っていない。そのため、よりニッチな市場を対象とした継続的な用途開拓が必須となるとの見方を示した。
- 産業用大麻とPLAを融合した3Dプリンタ向けバイオマスフィラメント
堀正工業は「オートモーティブワールド2020」において、産業用大麻(ヘンプ)の木質部分の微粒子をPLA(ポリ乳酸)と複合させたバイオコンポジットを原料とする3Dプリンタ用バイオマスフィラメント「HBP フィラメント」と、その造形サンプルを展示していた。
- 柔らかいモノの高品質な造形に特化したFDM方式3Dプリンタ
ホッティーポリマーは「オートモーティブワールド2020」において、軟質フィラメント「HPフィラメント(スーパーフレキシブルタイプ)」専用のFDM方式3Dプリンタ「エスディーズ I」を参考出品した。
- 先端内径150μm、詰まりの低減と精密な3Dプリントを両立するヘッドノズル
テクダイヤは、従来より精密な造形を可能にするFDM方式の3Dプリンタ用ヘッドノズルを発表した。素材に熱伝導率の高い真ちゅうを使い、内部に段差のないテーパー形状を適用することで、材料詰まりの低減と精密な3Dプリンティングの両立が可能となった。
- 3Dプリンタの可能性を引き上げる材料×構造、メカニカル・メタマテリアルに注目
単なる試作やパーツ製作の範囲を超えたさらなる3Dプリンタ活用のためには、「造形方式」「材料」「構造」の3つの進化が不可欠。これら要素が掛け合わさることで、一体どのようなことが実現可能となるのか。本稿では“材料×構造”の視点から、2020年以降で見えてくるであろう景色を想像してみたい。
- いまさら聞けない 3Dプリンタ入門
「3Dプリンタ」とは何ですか? と人にたずねられたとき、あなたは正しく説明できますか。本稿では、今話題の3Dプリンタについて、誕生の歴史から、種類や方式、取り巻く環境、将来性などを分かりやすく解説します。
- 「単なる試作機器や製造設備で終わらせないためには?」――今、求められる3Dプリンタの真価と進化
作られるモノ(対象)のイメージを変えないまま、従来通り、試作機器や製造設備として使っているだけでは、3Dプリンタの可能性はこれ以上広がらない。特に“カタチ”のプリントだけでなく、ITとも連動する“機能”のプリントへ歩みを進めなければ先はない。3Dプリンタブームが落ち着きを見せ、一般消費者も過度な期待から冷静な目で今後の動向を見守っている。こうした現状の中、慶應義塾大学 環境情報学部 准教授の田中浩也氏は、3Dプリンタ/3Dデータの新たな利活用に向けた、次なる取り組みを着々と始めている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.