矢野経済研究所は、ディスプレイに使用される偏光板と部材フィルムの世界市場調査の結果を発表した。偏光板の2023年世界生産量は、面積効果の大きい大型テレビ向けの需要が市場をけん引し、前年比7.9%増となる見込みだ。
矢野経済研究所は2023年5月31日、ディスプレイに使用される偏光板の世界市場に関する調査結果を発表した。調査対象の偏光板は、TFT-LCD、AMOLED、PM-VA、TN-LCD、STN-LCDのパネル向けとし、メーカー生産量を基に市場を算出した。
偏光板の世界市場は、ディスプレイ市場の動向に左右される。新型コロナウイルス感染症の影響を受けての巣ごもり需要が、2022年の6月頃から終わりを迎えたことに加え、世界的なインフレや景気の悪化により、ディスプレイパネルの生産数が減少。その結果、偏光板の2022年世界生産量は前年比18.7%減の5億110万m2にとどまった。全体の99.0%を、TFT-LCD向けやAMOLED向けが占めると推計される。
2023年の世界市場については、同社は面積効果の大きい大型テレビ向けの需要が市場をけん引すると見ており、前年比7.9%増の5億4065万m2と予測する。
また、生産ラインの新設が続く中国系メーカーの値下げ攻勢により、日系、韓国系、台湾系メーカーのシェアは縮小している。2023年のメーカーシェア1位は中国系のShanjin(杉金光電)で28.9%だった。同じく中国系のHMO(恒美光電)も14.0%まで拡大すると予測されており、今後、両社の競合は避けられない見通しだ。
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