矢野経済研究所は、製造業などがIoT(モノのインターネット)活用に向けて利用を検討している“IoTプラットフォーム”ベンダーへの調査を行った。その結果から「産業用IoTプラットフォームはおおむね4つのタイプに分類できる」と報告している。
矢野経済研究所は2017年4月14日、「デジタルイノベーション動向に関する法人アンケート調査」の結果を発表。同調査では、製造業などがIoT(モノのインターネット)活用に向けて利用を検討している“IoTプラットフォーム”ベンダーへの調査も行っており、その結果から「産業用IoTプラットフォームはおおむね4つのタイプに分類できる」と報告している。
同社は産業用IoTプラットフォームについて、機能範囲と業界のマトリクスによって定義している(図1)。
機能範囲は、「クラウド基盤(IaaS/PaaS)」と、分析機能などを備えた「基礎アプリケーション群(可視化〜人工知能など)」がセットにされている部分がコアな要素となる。そこに、下位層では「ネットワーク(M2Mなど通信系)」と「センサー類(センサーや端末、機器など)」、上位層では特定産業向けの「応用アプリケーション群」、IoTソリューションの「開発・導入・運用支援(PoC、アジャイルなど)」が入る。一方、産業用IoTプラットフォームがカバーする業種/業界は、製造業や公共分野などさまざまなものが該当するとしている。
この定義を基に分類すると「水平・業種フルカバレッジ型」「垂直・機能フルカバレッジ型」「垂直・アプリ提供型」「垂直・基本機能提供型」という4つのタイプに分けられるという。
まず「水平・業種フルカバレッジ型」は、水平型のソリューションとしてどの業種もカバーしようとするものだ。全業種に対して提供されるクラウド基盤であり、その基盤(プラットフォーム)上にユーザーやSIerなどがIoTシステムを開発することを主要コンセプトとする。
次に「垂直・機能フルカバレッジ型」は、開発・導入から応用アプリケーション、基礎アプリケーション、クラウド基盤、ネットワーク、センサー類まで、IoTソリューション構築にかかわる全要素をフルカバレッジでソリューション提供しようとするものとなる。同領域は国内大手SIerが主な提供者であり、ここでいうプラットフォームとは、“IoTソリューションを開発・運用しビジネスとして動かすためのプラットフォーム”という意味合いが強い。
そして、フルカバレッジ型から、開発・導入・運用支援を差し引いた領域を主に手掛けるのが「垂直・アプリ提供型」である。外資系の大手製造業がIoTプラットフォームの提供に乗り出しているが、おおむねそうした企業が提供するものが該当する。サードパーティーによるアプリケーション開発のプラットフォームにもなっているケースも多い。
最後に「垂直・基本機能提供型」は、目的や機能を絞り提供されるIoTプラットフォームだ。遠隔監視・予防保全のみに絞ったIoTプラットフォームなどが一部のベンダーから提供されている。
多様な業界をカバーするプラットフォーム提供事業者も存在するが、垂直型で構成する場合、ある程度、分野は決まってくる。現在のところ「製造業やエネルギー分野で垂直型ソリューションを展開するケースが多い」(矢野経済研究所)としている。
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