矢野経済研究所は、リチウムイオン電池のリユースとリサイクルに関する世界市場動向の調査結果を発表した。2023年の世界の車載用LiB廃棄、回収重量は23万3800tと推計され、市場はリサイクルブームにあるという。
矢野経済研究所は2023年8月24日、リチウムイオン電池(LiB)のリユースとリサイクルに関する世界市場の動向調査の結果を発表した。同年の世界の車載用LiB廃棄、回収重量は23万3800トン(t)と推計され、市場はリサイクルブームにあるという。
今回の調査では、使用済みLiBを別の用途で2次利用するリユース、使用済み電池から材料を抽出し、LiBの正極材の原材料などで再利用するリサイクルを対象とする。
BEV(バッテリー式電動自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド自動車)の普及により、車載用LiBの需要は増加している。そのため、LiBに使われるニッケル(Ni)、コバルト(Co)、リチウム(Li)などのリサイクルの必要性も再認識されており、2023年のLiB廃棄、回収重量は世界全体で23万3800tになる見込みだ。
使用済みLiBを別の用途で2次利用するリユース市場の規模は、2023年には4104MWhと推計される。使用済みLiBから金属材料を抽出して再利用するリサイクル市場は、Ni、Co、Liの回収量合計として6万7126tを見込む。
地域別で見ると、LiB廃棄、回収重量の93.9%を中国が占める。政策主導でBEVやPHEVの導入を進めており、廃棄、回収重量も先行しているが、政府主導のトレーサビリティーシステムがうまく機能していないことなどから、回収量は想定より少ない。
日本国内ではBEVやPHEVの販売台数が少なく、中古車が輸出されている。欧州や米国は個別回収しか実施されておらず、車載用LiBの回収量拡大を妨げている。
今後、LiBのリユースとリサイクルについては、CO2低減とリサイクルプロセスによるコスト上昇という2つの価値観が物差しとなってくる。経済合理性も含めた、多岐にわたる視点を持った最適な仕組み作りが重要としている。
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