矢野経済研究所は、国内のプラスチックリサイクル市場に関する調査結果を発表した。需要量や回収状況などを分析し、2023年の国内における再生樹脂需要量を51万5000tと推計している。
矢野経済研究所は2024年3月25日、国内のプラスチックリサイクル市場に関する調査結果を発表した。再生樹脂の需要量や使用済みプラスチックの回収状況などを分析し、将来展望を示している。
再生樹脂の需要量については、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル(モノマー化、油化)により再生した樹脂のうち、PETボトルや食品容器、自動車、家電品、パレットなどの製品に使用された量を調べた。
調査では、2023年の国内における再生樹脂需要量を、51万5000トン(t)と推計。内訳は、PETボトルを対象とした飲料向けが22万t、PET容器とポリスチレン(PS)食品トレーが対象の食品容器が15万t、自動車が2万5000t、家電品は3万t、パレットは6万t、その他が3万tとなっている。
政府では、プラスチックの資源循環を推進する施策を策定している。そのため民間企業でも再生樹脂の使用に関する目標を掲げたり、石油由来資源の使用量を削減するなどの取り組みが広がっている。
欧州の規制への対応でプラスチックリサイクルを進める動きが活発な自動車業界や、PETボトルのサステナブル化を目指す飲料業界を中心に、今後も再生樹脂需要が増加するとみられる。2030年頃までには、マテリアルリサイクルの高度化やケミカルリサイクルの実装化により、高品質な再生樹脂の供給量が増える見通しで、2030年の再生樹脂需要量は、93万6000tに達する予測だ。
使用済みプラスチックの回収には、さまざまな業界が取り組んでいる。飲料メーカーやコンビニエンスストアによるPETボトルの回収をはじめ、店頭や公共施設などに設置された回収ボックスで、日用品、化粧品、文具などの生活用品に使用されたプラスチックの回収が進められている。
再生樹脂の原料を安定的に調達するため、各方面で使用済みプラスチックの回収スキーム構築が図られている。
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