半導体パッケージ基板材料の世界市場予測、2025年は前年比8.7%増製造マネジメントニュース

矢野経済研究所は、世界の半導体パッケージ基板材料市場について調査した結果をまとめたレポートを発表した。このレポートによれば、コロナ禍明けの半導体需要の低迷を経て市場は回復し、2025年は前年比8.7%増の4327億5000万円に拡大する見込みだ。

» 2025年05月23日 15時30分 公開
[MONOist]

 矢野経済研究所は2025年5月8日、半導体パッケージ基板材料の世界市場について調査した結果をまとめたレポートを発表した。

2025年以降も年率8〜10%前後で伸長

 今回のレポートによれば、半導体パッケージ基板材料の2024年の世界市場規模(メーカー出荷金額ベース)は前年比8.7%増の3982億2900万円だった。

 製品分類別の内訳は、銅張積層板(Copper Clad Laminate:CCL)が2224億2300万円、ビルドアップフィルムは542億5000万円、液状ソルダーレジストは36億500万円、ソルダーレジストフィルムは216億5000万円、バッファーコート材料は288億5100万円、再配線材料は674億5000万円となっている。

キャプション 半導体パッケージ基板材料世界市場規模推移、予測[クリックで拡大] 出所:矢野経済研究所

 2020年から2022年ごろにかけて、半導体需要は急増した。この背景として、新型コロナウイルス感染症の影響で、在宅勤務やオンライン授業などで使用するIT機器の需要が拡大したこと、テレワークの推進によりデータ通信料が大幅に増大し、データセンターなどへの大型投資が実施されたことが挙げられる。

 2022年以降は、制限されていた経済活動が徐々に再開し、サービス産業が復活した他、IT関連機器の需要が一段落したことで半導体需要は低迷。2023年の同市場規模は3665億1800万円(前年比4.4%減)となった。

 2024年の同市場は前年を上回った。パッケージ基板の大型化による反りを抑えるためのFC-BGA(Flip Chip-Ball Grid Array)基板のコアが厚膜化し、CCLの販売価格が上がったこと、GPUやASICといったAI(人工知能)アクセラレーター需要の拡大に伴ってFC-BGA基板向け材料の需要が伸びたこと、多層形成などが必要な最先端パッケージの再配線材料の採用が増加したことなどにより、プラス成長に転じた。

 2025年も、前年比8.7%増の4327億5000万円に成長する見込みだ。同社は、2025年以降も年率8〜10%前後で伸長し続けると予測する。

 また、ガラスコア基板や光電融合パッケージが、次世代のパッケージ基板として注目されている。半導体デバイスの高性能化、高密度化に対応するため、パッケージ基板にも性能や品質の高さが求められるが、これまでの有機材料コア基板では寸法安定性や熱膨張係数、放熱性能などの面から要求に応えることが困難とされる。

 この代替材料となるガラスコア基板は、加工が難しく、有機コア基板と比べてコストもかかる。一方で、寸法安定性、剛性、弾性率、基板表面の平滑性などに優れることから、パッケージ基板のさらなる高性能化、高密度化を可能にする。

 現在、日本メーカーが半導体パッケージ基板材料市場の大部分を占めている。同社は、日本メーカーが今後も半導体業界で主要サプライヤーであり続けるには、マーケットや顧客ニーズの変化を察知し、先見性のある開発につなげる必要があると分析する。

 また、サプライチェーンに参入しておらず、一定のシェアを確保できていない材料メーカーも同様で、「現在の最先端」の数歩先を見越した材料開発により、次の世代において競争力を持てるとの考えを示している。

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