ソニーは2015年3月期(2014年度)第1四半期の決算発表を行った。構造改革の成果などにより、前年同期比8.5倍となる四半期純利益を計上した一方で、エレクトロニクスの中核事業と位置付けるモバイル事業が赤字に転落。中期計画を再検討する状況に陥っている。
ソニーは2014年7月31日、2015年3月期(2014年度)第1四半期(4〜6月期)の決算を発表した。構造改革の効果もあり、課題事業であったテレビ事業が黒字化を達成した他、ゲーム事業や映画事業などの好調、不動産売却などの影響から、四半期純利益は前年同期比8.5倍の268億円となった。一方で、エレクトロニクスの中核事業に位置付けているモバイル事業が赤字に転落。販売台数目標を下方修正し戦略の再構築を図ることを明らかにした。同社では「2014年度は構造改革をやり抜く1年」と宣言しているが、復活への道筋は不透明感を増す状況になっている。
同社の第1四半期の業績は、売上高が前年同期比5.8%増の1兆8099億円、営業利益は同96.7%増の698億円、税引前利益は同50.6%増の684億円、当期純利益は同8.5倍となる268億円、という結果となった。同社では、従来主力としてきたエレクトロニクス事業の赤字が常態化しており、2013年度にPC事業の売却やテレビ事業の分社化などの構造改革を推進。2014年度についても「構造改革をやり抜く1年」とし、本社や海外販売会社の再編とコスト削減に取り組むなど、さまざまな施策を進めてきている(関連記事:構造改革を進めるソニー、反転のカギを握るのはウェアラブルデバイス!?)。
これらの構造改革の成果もあり、課題事業とされていたテレビ事業が黒字化を達成。また家庭用ゲーム機「PS4」の販売や関連ネットワークサービスが好調なゲーム&ネットワークサービス分野が想定以上の実績を残し、第1四半期の業績に貢献した。
しかし、これらの成果があっても復活への道筋はまだまだ遠いと言えそうだ。第1四半期の業績について、ソニー 代表執行役 EVP兼CFOの吉田憲一郎氏は「映画や音楽、金融事業を除いたエレクトロニクス分野だけの営業利益を見ると第1四半期は68億円の黒字となった。しかしこれは不動産の売却益148億円を含んでおり、実際は80億円の赤字だ。同様に黒字化した2010年度も不動産売却益を含んでおり実質的には6年連続の赤字基調は続いている」と厳しい現状について話す。
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