ソニーが発表した2014年3月期第1四半期決算では、スマートフォン事業とテレビ事業が大幅に損益改善した他、為替の好影響を受け、最終損益の黒字化を達成した。
ソニーは2013年8月1日、2014年3月期第1四半期の決算を発表した。スマートフォン事業や金融事業が好調で大幅に売上高が伸長。さらに3年ぶりに黒字化したテレビ事業など、エレクトロニクス部門の損益改善により、最終損益は前年同期の赤字から黒字転換した。ただ通期の見通しについては、新興国市場の不透明感があるとし、売上高は上方修正したものの利益予想は据え置いた(関連記事:ソニー、2013年3月期で最終黒字化――今期の設備投資は半導体中心に)。
2014年3月期第1四半期の売上高は前年同期比13%増の1兆7127億円、営業利益は同5.8倍となる364億円、税引き前利益は同4.9倍となる463億円となり、最終損益は同281億円改善し35億円の利益となった。
最重要課題となっていたエレクトロニクス5分野(イメージングプロダクツ&ソリューション、ゲーム、モバイルプロダクツ&コミュニケーション、ホームエンターテイメント&サウンド、デバイス)の合計で前年同期が131億円の赤字だったのが、今期は134億円の黒字を達成できたという。
特に赤字で苦しんできたテレビ事業が3年ぶりに四半期黒字を達成。テレビ事業の売上高は同18.2%増の1856億円、営業利益は52億円となった。また「Xperia A」が好調なスマートフォン事業も大幅な増収と損益改善を実現し、同事業とPC事業などを合わせたモバイルプロダクツ&コミュニケーション部門は黒字転換した。
ソニーEVPでCFOの加藤優氏は「今期はエレクトロニクス分野の黒字化が最大の課題だが、第1四半期は黒字化し、いいスタートを切ることができた。テレビやスマートフォンなどを中心に高付加価値モデルへのシフトが成果につながった」と話した。
業績が好転したテレビ事業だが、第1四半期の販売台数は310万台。通期の目標販売台数についても2013年5月に予想した1600万台から100万台引き下げて、1500万台としている。しかし「固定費削減を進めてきたことに加えて、4Kテレビなどを中心に高付加価値製品へのシフトが進んだことで、損益面では大幅な改善を実現することができた」と加藤氏は話している。
同様にスマートフォン事業についても高付加価値化が効果を発揮したという。スマートフォン端末は第1四半期で960万台を販売。年間目標4200万台に向けて順調なスタートを切った。
スマートフォン事業の好転について加藤氏は「ソニーモバイルコミュニケーションズの100%子会社化が大きかった」と話す。従来も連携は進めていたが「100%子会社化によりソニーが保有している技術を早い段階で製品に反映できるようになった。電池やカメラ、ディスプレイなど、最先端技術を投入できる」と加藤氏は効果を強調する。加えて、グローバル展開する上でサプライチェーンの再構築を行った他、各地でのマーケティングを強化したことも高付加価値化を後押しした。
スマートフォンは、NECカシオモバイルコミュニケーションズが撤退を決める関連記事:NEC、スマホ事業“前向き”な撤退――脱“モノ”売りを加速)など、国内メーカーの苦戦が際立っている。加藤氏は、スマートフォンビジネスで勝ち抜くのに必要な要素として「開発スピードと、グローバル展開によるスケールメリットは絶対必要な要素だ」と話している。
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