ドコモが認めた技術を“ケータイ以外”へ組み込み企業最前線 − レッドベンド・ソフトウェア −(2/2 ページ)

» 2009年05月25日 00時00分 公開
[西坂真人,@IT MONOist編集部]
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ケータイの次はM2M

 機器のリソース環境も厳しく、市場競争も激しい携帯電話。その世界で培ってきた同社のFOTA/SCOTA技術が、今、M2M(Machine to Machine)でも注目されている。

 さまざまなデバイス同士をネットワークで接続し、自立的に制御することで新たなサービスを創造するM2Mは、産業機器をはじめ、医療、セキュリティ、流通、防災などさまざまな分野で期待されている。

 自動販売機の効率的な在庫管理など、すでに実用化も進んでいるM2Mだが、そこで使われるモジュールのアップデートビジネス自体は、最近になってようやく立ち上がってきたところだ、と阿部氏は語る。

 「従来はモジュールに何かトラブルがあったら、その機器がある場所まで行かなければいけなかった。その機器が自動販売機のように場所が固定されているものならまだしも、バスやトラック、場合によっては船などもある。こういった移動するものに組み込まれたケースでは、ある程度の不具合はリモートで解決できないとコストが膨大になってビジネスとして成り立たない」(阿部氏)

 そこで注目されているのが、同社のリモートアップデート技術というわけだ。レッドベンドのFOTA/SCOTA技術の特長は、アップデートにおけるデータ量が小さくて済むというところ。小さなパッケージで更新できるということは、通信回線の不安定な環境でも有利なほか、更新の安定さや信頼性にもつながる。これらのメリットは、携帯電話だけでなくM2M分野でも最適なソリューションとなるのだ。

さまざまな機器同士がつながる世界へ

 「M2Mでも期待されているのが復帰可能アップデート(ロールバック)機能。アップデートの差分ファイルの中に、元に戻すための逆計算プログラムを同梱しているので、元ファイルを送らずに元に戻すことができる。例えば、アップデート後に通信機能の不具合が発生した場合、タイマーを設定して一定時間通信が行われないときは元のバージョンに戻すといったことも可能。この技術を応用して、お試し期間として2週間だけ新バージョンを使ってもらい、気に入らなかったら2週間後に自動的に元に戻るといった使い方もできる」(阿部氏)

 そのほか、高い鉄塔の上に設置されているネットワーク基地局のアップデートなど、メンテナンスしづらい設置環境などでも効果を発揮するだろう。また、無線での活用だけでなく、従来フラッシュメモリなどを使って行っていたアップデートなどでも、ファイルが小さいため更新時間が大幅に短縮でき、作業効率が高まりそうだ。

 すでに、タバコの自動販売機での成人識別ICカード「taspo(タスポ)」をはじめ、POSレジやケータリングの受注システム、カーナビなどでレッドベンドのFOTA/SCOTA技術を使ったM2Mソリューションが採用されているという。

 「これからネットワーク上でさまざまな機器がつながっていく世界が到来するとき、レッドベンドの優位性というのがさらに高まっていくだろう。携帯電話以外での新しいビジネス展開として、M2Mには大いに期待している」(ロリ氏)


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