FPGA拡大の波に乗るOKIアイディエス、運転支援で車載向け狙う組み込み企業最前線(1/2 ページ)

グローバル化が加速する中で、国内EMSとして成長を続ける沖電気工業のEMS事業本部。その中で組み込みソフトウェアの開発を行っているのがOKIアイディエスだ。同社は画像関連やFPGA関連の開発実績を生かして成長を続けており、今後は車載向けの開拓を本格化するという。

» 2017年03月31日 14時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 沖電気工業(OKI)では2002年にEMS(Electronics Manufacturing Service、電子機器生産受託サービス)事業を開始。通信機器、産業機器、計測機器、医療用機器、など対象領域を拡大しながら成長を続けてきている。OKIアイディエスは2014年3月に設立され、OKI EMS事業本部で組み込みソフトウェアの開発を担っている。これにより商品企画から開発設計、部品調達から製造、組み立て、試験検査まで一貫した開発、生産ができる体制としていることが特徴だ※)

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photo OKIのEMS事業本部におけるOKIアイディエスの位置付け(クリックで拡大)出典:OKIアイディエス

 OKIアイディエスは、映像や音声、通信のファームウェア開発やハードウェア開発、産業用機器、医療用機器、プリンタなどの製品開発、情報通信機器の組み込みソフトウェアの受託開発などを行うソフトウェア開発企業である。もともとは沖情報システムズを母体としており、情報通信機器のソフトウェア開発などで強みを持つ。しかし、EMS事業本部で業容を拡大する流れの中で徐々に対象範囲を拡大。OKIアイディエス 代表取締役社長の穴田則明氏は「EMS事業本部の拡大とともに徐々に対応力を高めてきた」と述べている。

 同社は社員数が約100人で、そのうち開発部門が約8〜9割を占めている。開発部門の内訳はソフトウェア開発が約50人、エレクトロニクスおよびFPGA開発が約30人、メカや筐体の設計開発が約10人となっている。

FPGA関連の開発ニーズが拡大

 製品ソフトウェアの開発領域は、IoT(モノのインターネット)の普及などにより要件が徐々に変化しつつある。多様な利用が求められる中、設計開発段階でもギリギリまで市場投入のタイミングに近づけて開発リードタイムを短くすることが求められるようになっている。その中でより柔軟な使い方ができるFPGAの採用が拡大。従来のソフトウェア単体での委託から、ハードウェア関連開発との複合的な委託が増えてきているという。

photo OKIアイディエス 代表取締役社長の穴田則明氏

 穴田氏は「ハードウェアとソフトウェアを一体化して機能を実現するような傾向が強まり、最近はソフトウェアのみの受託開発というのは減ってきている。基本的にはハードウェアとソフトウェアの一体開発が求められ、FPGAやDSPを含めた依頼が増えている。その中でも特にFPGA関連の開発ニーズは高まっており、人員強化や教育強化などを含めて開発体制の整備に取り組んでいるところだ」と述べている。

 同社の開発案件は基本的には産業用途に絞られており、FA・計測領域、医療・介護領域、セキュリティ領域、デジタル映像機器領域などが中心となっている。そのため、高信頼性が要求され、少量多品種製品の開発に携わることが多い。「顧客のニーズによってはDSPを使いたいという声は根強いが、柔軟性や拡張性を考えてFPGAを採用する動きは強まっている。開発体制的に全ての依頼を受けきれない状況にもなっている」と穴田氏はFPGAの開発ニーズについて述べる。

photo FPGA搭載の基板イメージ(クリックで拡大)出典:OKIアイディエス

 開発人員体制が限定される中で同社は、将来性のある先進技術に早くから目を付け、早期にパートナー契約などを結んで開発を行う取り組みを推進。DSPでは米国 Texas Instruments(TI)、産業用フィールドネットワークではEtherCATなどに取り組んで実績を残している。さらにFPGAでは、早期からFPGAベンダーの米国Xilinx(ザイリンクス)とパートナー契約を結んでおり、日本の開発・設計専業の会社で初めて「Premier Member」として認定登録されている。

 穴田氏は「開発体制が限られる中で重要になるのが技術の目利きだ。特にザイリンクスとは早期から良好な関係を保っている。現状ではFPGA開発の中でも特にPCI Express のデータ転送効率を最大化する『iDMAC』を差別化のポイントにできている」と述べている。

photo OKIアイディエスの事業マップ(クリックで拡大)出典:OKIアイディエス
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