さらに、将来性を見据え、FPGAのニーズ拡大を生かした自動車分野への進出に力を注ぐ。車載領域ではコネクテッドカーや運転支援の拡大などで現在プラットフォームが大きく変化している。クラウドシステムとの連携、車載情報端末への画像や映像表示、運転制御領域との連携など、さまざまな変化が進むと見られている。こうしたさまざまな変化に対応する柔軟な基盤として、FPGAへの注目度が高まっているという。
さらに、運転支援システムでは、グローバルFPGAデザイン・サービスを展開するクロアチアのXylon(ザイロン)と提携。日本国内における同社技術の独占使用契約を締結しており、自動車の先進運転支援システム(ADAS)の設計受託市場への取り組みを進めている。
穴田氏は「自動車向けでFPGAを実際に使う動きはまだまだ少ないが、将来的に運転支援やコネクテッドカーなどの領域が広がった時に、新たな技術対応や規格対応などの変化が出てくる。そうした変化する状況に柔軟に対応し製品を進化させていくということを考えればFPGAを一部で採用するという動きも出てくるはずだ」と車載向け市場についての考えを述べている。
既にザイロンとの提携を決めた2014年末から提案活動を開始しており、試験用途での一部採用などは進んでいるという。特に現在、提案を進めているのがザイロンの4カメラによるサラウンドビューシステムである。同システムはザイリンクスのFPGAを利用したシングルチップソリューションで、複数カメラの入力を同時にサポートしており、ゆがみ補正や3次元補正を加えることができるという。穴田氏は「海外ではFPGAを採用するケースも出てきており日本でも需要があるはずだ」と語っている。
今後については「2年間取り組んできた自動車向けでまずは成果を残し、現在全体の2%程度の売上比率を高めていくことが大きな目標だ。さらに、EMS事業本部の中で受託するだけでなく、当社の設計力を生かしてオリジナル設計を売り込めるような体制を作っていきたい」と述べている。
市場ニーズの変化により組み込みシステム開発についても現在は変革期にある。「日本は従来はどうしても自前主義の傾向が強かった。すり合わせの文化は一つの強みではあるが、システムが複雑化、多様化する中で、それだけではスピードについていけなくなる。すり合わせではなく組み合わせを生かしたシステム開発が必要になる」(穴田氏)と強調。「先進技術を持ったパートナー企業との関係を生かして、より早く新たな技術的な価値を訴えていきたい」と穴田氏は語る。
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