NECは「リテールテックJAPAN 2026」において、一度の顔登録で複数サービスを横断利用できるプラットフォーム「NEC顔リンクサービス」を出展した。個別登録の煩わしさを解消し、シームレスな顔パス経済圏の社会実装を目指す。
NECは「リテールテックJAPAN 2026」(2026年3月3〜6日、東京ビッグサイト)において、一度の登録で複数の提携サービスを利用できる顔認証プラットフォーム「NEC顔リンクサービス」を出展した。
ブースでは模擬店舗環境を構築し、事前に顔データとクレジットカード情報登録を行ったユーザーが、実際に弁当などの商品を決済できる様子を披露した。商品購入時、カメラ付きの決済端末に顔をかざすと、1秒ほどで顔認証から決済処理までが完了した。
利用手順としては、まずユーザーが専用アプリをダウンロードし、自身の顔と運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類を登録することで、eKYC(オンライン本人確認)が完了する。提携サービスとのデータ連携にはオプトイン方式を採用しており、ユーザーはアプリ上で自身の個人情報を提供/連携したいサービスを任意に選択して登録可能だ。設定後は、店舗などに設置された対応カメラ付き端末に顔をかざし、認証/決済が完了する。
従来の顔認証システムでは、サービス事業者ごとに個別の顔データ登録が求められており、ユーザーの利便性が損なわれるという課題があった。NECはこれに対し、NEC顔リンクサービスとして共通の顔認証プラットフォームを提供する。利用者は一度の生体情報登録で連携する複数の店舗やサービスを横断的に利用できるようになる。また、本人確認情報とひも付いているため、酒類販売時などに求められる年齢確認も顔認証のみで完結できるという。
NECは1989年から顔認証技術の研究開発を開始し、2016年ごろからは顔認証決済の実証実験や、個別企業への技術提供を行ってきた。これまでに、金融機関のATM、空港ゲート、オフィスや施設の入退室管理、テーマパークなどに導入事例がある。
また、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)において落合陽一氏がプロデュースしたシグネチャパビリオン「null2」でも、来場者の顔情報を活用し、自分や他の参加者の分身(デジタルツイン)と対話できる空間に技術を提供した。同社の顔認証技術は、米国国立標準技術研究所(NIST)による顔認証ベンチマークテストにおいて精度認証を受けている。
これまで多様な企業へ個別にシステム構築を行ってきたNECが、なぜ共通基盤を開発するのか。その背景についてNECの説明員は、「個人情報の厳格な管理が負担となるため、NEC側でデータを一括管理してほしいという要望が寄せられていた。また、ユーザー視点でも、個別のアプリを導入し都度顔登録を行う煩わしさが普及のハードルとなっていた。双方の課題を解決し、よりシームレスな『顔パス』の経済圏の構築を目指したい」(NECの説明員)と語った。
現在は、トライアルカンパニーが運営するディスカウントスーパー「トライアル」の14店舗(※)などへ実証的に導入しており、2026年4月からは麻布台ヒルズでも一部利用が開始される予定だ。
実証期間や事業者側の導入コストについては、詳細は明かしていない。今後は利用ユーザーの拡大を図るとともに、小売りや飲食に加えて、施設入退室管理や鉄道、デベロッパーなど多様な業種へ連携の輪を広げていく方針だ。
(※)トライアルGO西荻窪駅北店、トライアルGO富士見台駅北店、トライアル西友花小金井店、トライアルGO笹塚駅西店、トライアルGO中野中央5丁目店、トライアルGO小笹4丁目店、トライアル古賀花見店、トライアルアイランドシティ店、トライアル宮田店、トライアルGO福岡別府3丁目店、トライアルGO今泉2丁目店、トライアルGO脇田店、トライアルGO多の津店、トライフーズGO宮若福丸店
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