NECは、歩行中の人物を顔と虹彩の組み合わせで認証するウォークスルー型の「顔・虹彩マルチモーダル生体認証技術」を開発した。1台の小型カメラで高精度に識別でき、厳格な本人確認と利便性向上を両立する。
NECは2025年12月3日、歩行中の人物を顔と虹彩の組み合わせで識別するウォークスルー型の「顔・虹彩マルチモーダル生体認証技術」を開発したと発表した。小型カメラ1台のみで顔と虹彩の特徴を同時に捉え、高精度の本人確認ができる。同社は2026年度中に本技術を活用した実証実験を行い、2027年度の実用化を目指すとしている。
本技術は、米国国立標準技術研究所のベンチマークテストで複数回第1位を獲得した顔認証と虹彩認証技術を組み合わせ、1億人以上の登録者から対象者を瞬時に識別できる。NECの基盤モデル学習を応用したAI(人工知能)技術により、歩行によるブレや視線の逸れ、眼鏡の有無といった条件下でも、生体特徴を安定して捉える。3m離れた位置から自然な速度で歩いても認証が完了し、立ち止まる必要がない。
導入構成は、小型カメラ、赤外線ライト、処理用プロセッサ、表示ディスプレイと少なく、屋外や逆光、暗所など環境の変化にも強い設計だ。既存施設の入口やゲートにも組み込みやすく、大規模な工事を必要としない。
従来のカード提示やパスワード入力を伴う二要素認証の手間を省き、ストレスなく通過しながら認証できる。厳格な本人確認が求められる空港や国境審査、金融や決済サービスなどでの活用が期待される。
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