近年、AI需要の伸長により厳しい環境下でも動作可能な高性能チップが必要とされている。このような中、AMDはAI領域に強い、高性能で高耐久な組み込み向け製品を提供し、日本でも市場を拡大している。本稿では同社が展開する組み込み向け製品「AMD x86 Embedded」シリーズの特長や市場の動向に焦点を当てて紹介する。
工場や医療、モビリティなどさまざまな領域で活用されている組み込みシステムにおけるAI(人工知能)活用のニーズが広がっている。それらの用途では、高性能であるとともにより厳しい環境でも動作可能な高性能チップが必要だ。このような状況の下で、AMDは厳しい環境下でも動作する高性能で高耐久な組み込み向けの製品を提供し、日本でも市場を拡大している。
そこで、AMDの日本法人である日本AMD カントリーマネージャーの杉山功氏に、AMDが展開する組み込み向け製品「AMD x86 Embedded(以下、x86 Embedded)」シリーズの特長や市場の動向などについて聞いた。
現在AMDは、グローバルで7000社以上の組み込み領域の顧客を抱えているという。これは、同社が2022年にFPGAやアダプティブSoC(System on Chip)に強みを持っているザイリンクス(Xilinx)を買収し、組み込み領域の顧客が増えたからである。
杉山氏は「世の中全体のシステムを完成させるのは組み込みシステムであると思っている。このシステムは自動車や工場のデバイス、病院などあらゆる場所に存在し、これが無ければ世の中の便利なシステムが完結しない」と強調する。
組み込み向けの製品として、AMDはx86 Embeddedシリーズを展開しており、ローエンドの安価な製品からハイエンドの高価な製品まで豊富な製品ラインアップを取りそろえている。杉山氏は「ザイリンクスの買収から約4年半が経過し、製品ラインアップの進化が大きく進んだ」と述べる。
x86 Embeddedシリーズは通常のPCやサーバで使われることが多いCPUと比較すると、長寿命性や耐久性に強みを持っている。AMDは「長期供給と高い信頼性」「ソフトウェア」「ハードウェア機能」の3つの観点に注力して同シリーズを展開している。
長期供給と高い信頼性を実現するために、x86 EmbeddedシリーズはPCやサーバ向けのCPUと比べて動作温度範囲を拡張しており−40℃〜100℃の温度環境下でで利用できる。これは組み込み領域で稼働するCPUは過酷な環境下におかれることが多いからだ。ソフトウェアの機能としては、オープンソースのファームウェアや長期のOSサポート、組み込み要件に即した検証済みのツール、ドライバーを備えている。
ハードウェア機能としては、耐障害性と冗長性、セキュリティを向上させるためにセキュアブートやデータ保護用のCRC(巡回冗長検査)といった機能を搭載しており、ユーザーは製品を安心して利用できる。
x86 Embeddedシリーズの製品ラインアップとして、AMDは「AMD Ryzen Embedded(以下、Ryzen Embedded)」と「AMD EPYC Embedded(以下、EPYC Embedded)」という2つのシリーズに分けて展開しており、両方でローエンドからミッドレンジ、ハイエンドに至るまでを網羅している。
Ryzen Embeddedシリーズはエッジ向け製品として設計されており、スペースや電力、熱に厳しい制約がある環境下でも動作する製品として提供している。一方EPYC Embeddedシリーズは、過酷な条件下のアプリケーションやエンタープライズシステムなど24時間365日稼働する環境下でも耐えられるように、最高レベルの稼働時間と高いパフォーマンスを発揮可能な設計となっている。
杉山氏は「Ryzen Embeddedシリーズはロボットコントローラーや車載システム、小売りの機器などに適用できる非常にコンパクトなサイズになっている。制約がある中でコンピューティングリソースやグラフィック、低遅延での処理が求められるエッジ端末には理想的なラインアップを取りそろえている。一方EPYC Embeddedシリーズは、ファイアウォールアプライアンスやストレージアレイ、産業用のサーバなどで活用されている」と語る。
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