ダイヤモンドスピン方式量子コンピュータのプロトタイプを開発:量子コンピュータ

富士通は、ダイヤモンドスピン方式量子コンピュータのプロトタイプを開発した。高輝度なスズ−空孔センターを量子ビットに用いた構成で、超伝導方式より高い約−271.6℃での動作を確認した。

» 2026年09月25日 14時00分 公開
[MONOist]

 富士通は2026年9月8日、大規模化に向けた光接続の拡張が期待される「ダイヤモンドスピン方式量子コンピュータ」のプロトタイプを開発したと発表した。同社とデルフト工科大学、量子技術の研究機関であるQuTechが2020年から取り組んできた共同研究による成果だ。

キャプション プロトタイプの外観[クリックで拡大] 出所:富士通

 ダイヤモンドスピン方式は、ダイヤモンド結晶中の格子欠陥構造を量子ビットとして利用する。ダイヤモンド特性に起因する高いフィデリティ(忠実度)と高効率の光接続により、拡張性に優れたモジュール型アーキテクチャによるシステム構築が可能になる。

 今回開発したプロトタイプは、従来主流だった窒素−空孔(NV)センターに対し、外部ノイズの影響を受けにくいスズ−空孔(SnV)センターを量子ビットに活用した。従来比で約10倍に相当する高輝度なSnVセンターを量子ビットに採用した構成は世界初となる。超伝導方式より高い動作温度(約−271.6℃)での稼働や、同社のハイブリッド量子コンピューティングプラットフォーム「Fujitsu Hybrid Quantum Computing Platform」経由での制御実証も完了した。

キャプション (a)SnVセンターを含むダイヤモンドとアルミナの光導波路から成るフォトニクス集積回路の一部の電子顕微鏡像と模式図。(b)SnVセンターとNVセンターの分子構造と、発光スペクトル[クリックで拡大] 出所:富士通

 プロトタイプ作製に当たっては、高品質ダイヤモンド基板とアルミナ・酸化膜付きシリコン基板を接合する異種材料接合技術と、異種材料に接合したダイヤモンドを数百nmまで薄層化する技術を開発した。また、単一光子検出用の光導波路を集積したフォトニクス集積回路や、独自の量子回路変換制御機構も搭載している。

 同社は、2027年までに複数量子モジュール構造のシステム開発を進め、超伝導方式との接続技術を含めた大規模な誤り耐性量子コンピュータの開発を目指す。

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