標準偏差とは? その概要や基礎を分かりやすく解説するメカ設計者のための用語辞典。
標準偏差とは、データの中におけるバラツキを数値化するための指標である。日本工業規格(JIS)の「統計−用語と記号−第1部:確率及び一般統計用語、Z 8101-1:1999」においては、分散の正の平方根、σ=V(X)であると定義されている。
標準偏差は、個々のデータ値と平均値の差(「偏差」という)を2乗して合算した値から、さらにデータの総数「n」で割った値の正の平方根で算出する。ただし、データ総数を単純に「n」とするのではなく、「n-1」で算出する。n-1を「自由度」と呼ぶ。
標準偏差をヒストグラム(グラフ)化すると「正規分布」となり、データの線は左右対称の釣鐘状になる。その中心値から中心振り分けとなるデータ分布の範囲の広さによって、以下のように定められている。基準となるσは「68.3%」であり、全体の約7割の範囲を示す。
例えば、工業製品の生産の場合は、標準偏差は全生産数における良品率を示す。製造業の品質管理においては3σ(サンシグマ)を指標の1つとすることがあり、「生産数が1000個のうち、不良品が3個」を示している。例えば、部品の寸法測定データを用いて評価する。
企業の改善活動などで使われる「シックスシグマ(6σ)」は、“改善施策により生産のバラツキを極限まで抑え、不良品の発生を極力防ぐための活動”といった意味になる。もし部品生産で99.9997%の良品率を目指すのであれば、「生産数100万個のうち、不良品は3.4個」になる計算だ。
σは「母集団の標準偏差」を示し、標本(サンプル:母集団から抽出する部分集合)における標準偏差の場合は「s」と区別することがある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.