メカ設計者のための用語辞典。今回は「OpenGL」について解説する。
「OpenGL(Open Graphics Library)」は、グラフィックスハードウェアのライブラリの一種で、オープン標準規格である。コンピュータにおける2Dおよび3Dグラフィックスの演算や描画を支援するプログラムを備える。OpenGLはGPUのプログラムを細やかに制御できる。OpenGLをあらかじめ搭載したGPUに描画演算処理を集中させ、CPUの処理負担を減らすことで高速処理を実現する。
OpenGLは業界の中では中立の立場とし、採用するオペレーティングシステム(OS)に左右されないマルチプラットフォームとして提供される。適用分野は、放送関係、CAD/CAM/CAE、バーチャルリアリティー、エンターテインメント、医療画像などである。家電、個人向けPC、ワークステーション、スーパーコンピュータなど、システムの規模によらず導入されている。
OpenGLは、1992年に旧Silicon Graphics(後のSGI。2016年にHPEが買収)が自社製品向けに開発した「IRIS GL」を起源とし、業界団体であるクロノス・グループ(Khronos Group)が仕様策定を取りまとめる。
監修は「OpenGL Architecture Review Board(ARB)」というコンソーシアムが行う。ARBには、マイクロソフト、アップル、HP、IBM、デル、インテル、AMD、エヌビディア、コンパック、オラクル、Evans&Sutherland、ZiiLABSなどのハードウェア/ソフトウェアメーカーが参加する。参加メンバー企業は、クロノス管轄の「OpenGL ARB Working Group(OpenGL ARB WG)」で、仕様変更や拡張機能の提案やリリース、テストなどを実施している。OpenGLのプログラムはオープンになっており、APIを提供している。各社製品の仕様に応じた拡張機能も提供する。
「OpenGL ES」は、モバイル端末や組み込みシステム向け開発に最適化したOpneGLのAPIである。3Dグラフィックスをふんだんに活用するゲーム機器やモバイル端末で採用される。
「Web GL」はWebブラウザ上におけるJavaScriptでの3Dグラフィックス描画処理に特化したAPIである。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.