メカ設計者のための用語辞典。今回は「レンダリング」について解説する。
「レンダリング」とは、コンピュータ処理によって画像や映像、音声を生成することを意味する。3D CADやCGにおけるレンダリングとは、3D形状に対して色や質感、光や影の表現を加えることを示し、「3Dレンダリング」と呼ぶ。また、レンダリングソフトウェアのことを「レンダラ―」という。
「プリレンダリング」は、事前にレンダリングしておいてCG表現することである。「リアルタイムレンダリング」は、プレイ中のゲームでリアルタイムにレンダリング処理することである。後者は複雑で高負荷なコンピュータ処理となる。
「レイトレーシング(ray tracing)」は、現実の物理法則に基づいて光線の伝播(でんぱ)をシミュレーションして表現する技術である。「光線追跡法」とも呼ばれる。写実性を高めようとすればするほど計算が複雑化し、高負荷となる。
「フォトンマッピング」はレイトレーシングの手法の1つで、光源が大量の「フォトン(光子)」を放出していると解釈し、モデル(形状)に接触した場合の反射や屈折などの状態を計算する。「コースティクス」という、透明な固体や液体(ガラスや水など)越しの光の波紋が表現できる。
「トゥーンレンダリング(toon rendering)」は、写実性を重視しないデフォルメ表現、いわゆるアニメやイラストレーション(cartoon)調の表現をする手法である。稜線(輪郭線)や陰影を強調した、手描きのような画像や映像となる。
3D CADにおいて、モデルの面を陰影と色で表現する「シェーディング」表示、木目や金属などの見た目を表現する「テクスチャマッピング」は、3Dレンダリング処理の一部である。3D CADはシェーディングとは別に、モデルに対して写実表現を施す「レンダリング」機能を備えることがある。3D CADから線画を取り出し、Adobeの「Illustrator」などの画像編集ソフトウェアで編集、作成する作業もレンダリングの一種である。
設計、製造において、レンダリング画像は企画資料に添付する商品イメージやカタログ、広告などで活用できる。極めて写実的なレンダリングを行うことで、製品の実機やモックアップが完成する前に、限りなく実製品に近いイメージを確認することが可能となる。
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