メカ設計者のための用語辞典。今回は「ボクセル」について解説する。
「ボクセル(voxel)」は、コンピュータで立体を表現するデータの最小単位である。ボクセルは、volume(体積)とpixel(画素)を組み合わせて作った造語である。ボクセルは、コンピュータの画像における最小単位を示すピクセルに、高さ(奥行)の情報を付加したような概念である。3Dデータの解像度を示す場合にも用いられる。
ボクセルは、極小の立方体(直交格子)を積み上げて立体のデータを作る。極小の立方体は、一定のスカラー値およびベクトル値を持つ。ボクセルはピクセルと同様に、空間内に座標を持たない。ボクセルは、ボクセルデータを扱う3Dモデリングソフトウェアもある。ボクセルモデリングであれば、従来の3D CADおよび3D CGツールでは実現が難しかった有機的な形状を容易に再現可能である
ボクセルデータはSTLなどポリゴンデータに変換し、有限要素法解析などで使われることがある。ボクセルデータをそのまま扱う解析ソフトウェアもあり、STLデータをボクセル化してその中で解析する場合がある。この場合は、CTスキャンデータから生成したボクセルデータを取り込んで解析や計測に活用するなどがある。計算精度はボクセルをひたすら細やかにすることで高まっていくが、計算量も増大する。また、ボリュームレンダリングという立体空間を対象に、光学的な条件なども含めたレンダリング処理をする際にもボクセルデータが用いられる。
ボクセルを用いたファイル形式には、「FAV(FAbricatable Voxel:ファブ)」がある。FAVは積層造形(3Dプリンタ)向けのオープンデータのフォーマットであり、富士ゼロックスと慶應義塾大学SFC研究所が開発した。ボクセルデータ単位で材料や色の指定が行える。相互の接続強度など、ボクセル同士の関係性も管理可能である。また、ボクセルデータのまま構造解析が行えるとしている。
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