金属3Dプリンタは量産対応とともに「誰でも使える」を目指す、ソフトウェアも続々DMS2018(1/4 ページ)

東京ビッグサイトで「第29回 設計・製造ソリューション展(DMS2018)」が開催された。その中で金属3Dプリンタは海外を中心に10社以上の製品が並んだ。

» 2018年07月13日 07時00分 公開
[加藤まどみMONOist]

 2018年6月20〜22日、東京ビッグサイトで「第29回 設計・製造ソリューション展(DMS2018)」が開催された。その中で金属3Dプリンタは海外を中心に10社以上の製品が並んだ。Industry 4.0の取り組みが活発化する中、各社でネットワークにつながり量産対応するための取り組みが見られた。その一方で、ソフトウェアにおいては、現場で使える造形シミュレーションやサポート作成の自動化など、より容易に3Dプリンタを使いこなすための機能が登場した。さらに3Dプリント関連のツールを統合するなど、一層の高度化も見られた。

 中でも注目を浴びていた製品の1つが、Desktop MetalのFDM(熱溶解積層)方式の金属3Dプリンタだ。同社の方式は現在主流となっている方式よりも安価で手軽なため、金属3Dプリンタの利用シーンを拡大させる可能性がある。以下に各社の展示を紹介していく。

装置は引き続き大型化・高出力化・自動化の流れ

 高精度の用途で主流となっているパウダーベッド方式(粉末を一層ずつ敷きレーザーなどを照射して溶かす方式)の装置は、各社とも大型化、高出力化が進むとともに、造形プロセスの自動化など量産プロセスのための取り組みが見られた。また、より安価に大型製品を作ることのできるデポジション方式の製品も各社から出展されていた。

 HTLのブースでは、GEの子会社であるConcept Laserが開発中の「Project A.T.L.A.S」製品を紹介していた(関連記事:GEが日本の金属3Dプリンタ事業に本腰、造形サイズ1.3m角の超大型機も2020年に)。最大造形サイズは一辺1.3mとなる。予約受付中で2020年度の出荷を予定しているという。量産のため自動化を前提とした装置で、積層厚は20から100μm、最大で1.5kW(キロワット)のレーザーを4台搭載する。

 現在のConcept Laserシリーズで最大造形サイズの装置は「X Line 2000R」で、造形サイズは800×400×500mm、造形厚は30〜150μm。また自動化がコンセプトの「M Line Factory」を2018年末に販売予定だ。積層厚は20〜100μmで、造形サイズは500×500×400mm、最大で1kWのレーザーを4台搭載する。

 GEは電子ビームで加熱する方式のスウェーデンのArcamも傘下に収めている。HTLのブースでは、Arcamのサンプルも紹介していた。電子ビームはレーザーより造形スピードが速い、チタン造形に向く、残留応力が小さいといった特徴がある。最新の「EBM Spectra H」は、造形サイズが直径250×430mm、最大出力は6kW。対応材料は現在718AlloyおよびTiAlで、レシピは順次リリース予定としている。

図1:Arcamの電子ビーム式金属3Dプリンタによる造形サンプル。

 また同ブースではデポジション方式の3Dプリンタも紹介していた。デポジション方式では、金属の粉末やワイヤをレーザーや電子ビームなどで溶かしながら上部から供給し、目的の箇所に堆積させていく手法。レーザー加熱方式のRPM IINOVATIONS製「RPMI 557」などを紹介していた。

図2:HTLブースで紹介していたRPM Innovationsの3kWレーザーを用いた堆積方式の「RPMI 557」。5軸制御が可能で最大造形サイズは1524×1524×2133mm。

金型事例が豊富な複合機

 切削と積層造形を同時に行える複合加工機のデモを行っていたのが松浦機械製作所だ。「LUMEX Advance-60」は500W(ワット)または1kWのレーザーを搭載し、最大で600×600×500mmのサイズを造形できる。同社が提供する専用材料を使用する。特に金型関連の用途が多いという。同装置によって、今までの加工法では難易度の高かった溝深さと溝幅の比が17以上といった加工も可能になる。また型の分割数を減らせるといったメリットがあり、設計から金型作成までのリードタイムを半分にした例もある。

 なお最新バージョンのソフトウェアでは、サポートやラティス(格子)構造を自動で設定する機能を追加したという。

図3:ドリルで切削している様子。切削加工の際は10層積層するごとに切削モジュールが加工部の上部に移動し、余分な金属粉末を横から出たノズルで吹き払って5軸切削加工を行う。
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