ビーッと引っ張り、サッと切れる「テープディスペンサー」の仕組み100円均一でモノの仕組みを考える(12)(1/3 ページ)

本連載「100円均一でモノの仕組みを考える」では、実際に100円均一ショップで販売されている商品を分解/観察して、その仕組みや構造を理解しながら、製品開発の過程を考察していきます。連載第12回のお題は、文房具の定番商品の1つ「テープディスペンサー」です。

» 2025年07月14日 08時00分 公開

こんな人にオススメの記事です!

100円均一でモノの仕組みを考える
  • モノの仕組みや構造、分解に興味がある方
  • 設計スキルの向上を図りたい方
  • 自社製品の差別化/競争力アップを目指したい方

 本連載は、実際に100円均一ショップで販売されている商品を分解/観察し、その仕組みや構造を理解して、製品開発の過程を知ることを目的としています。前回は、磁石の付いた釣り竿で魚を釣り上げる玩具「魚釣りゲーム」の仕組みを取り上げました。

テーマ12:テープディスペンサー

 連載第12回となる今回は、文房具の定番商品の1つである「テープディスペンサー」を取り上げます(図1)。

今回のお題「テープディスペンサー」のイメージ 図1 今回のお題「テープディスペンサー」のイメージ[クリックで拡大] 出所:iStock/Issaurinko

 言うまでもなく、「セロハンテープ」に代表される薄いフィルム状のテープを、任意の長さにカットするための道具です。「テープカッター」と呼ばれることもあります。「使ったことがない!」という人は恐らくいないでしょう。100円均一ショップでも、非常に多くの商品が並んでいました。

 「ディスペンサー」とは、テープを除いた本体部分のことで、テープをカットするためのカッター刃と台座で構成されるベース部を指します。100円均一ショップで販売されている商品の多くはミニサイズで、小径のセロハンテープとセットになっているものがほとんどだと思います。

 普段、当たり前のように使っているテープディスペンサーですが、テープをスムーズにカットできる仕組みについて考えたことはあるでしょうか。これって、よくよく考えてみると実はすごいことなのではないでしょうか? 今回はその仕組みについて、一緒に深掘りしていきましょう。

今回筆者が手に入れた「テープディスペンサー」 図2 今回筆者が手に入れた「テープディスペンサー」[クリックで拡大]

テープディスペンサーの部品構成

 テープディスペンサーの部品構成は非常にシンプルで、主に以下の部品から成り立っています(図3)。シンプルだからこそ、それぞれの部品が明確な“役割”を持って設計されていることが分かります。

「テープディスペンサー」の部品構成 図3 「テープディスペンサー」の部品構成[クリックで拡大]

本体(ベース部)

 テープディスペンサー全体を支える土台となる部品で、使用時の操作性を大きく左右します。100円均一ショップで販売されている商品では、軽量なプラスチック製のものが主流で、テープを挟み込むような2つのパーツで構成されているものが多く見られます。今回、筆者が手に入れた商品もこのタイプに該当します。

ローラー部

 テープを装着するための軸の部分です。今回取り上げる商品では、本体とローラー部が一体に成形されています。

カッター刃

 テープをカットするための部品であり、主にプラスチック製と金属製の2種類が存在します(図4)。

  1. プラスチック製のカッター刃:
    ABSやポリカーボネート(PC)などの硬質な樹脂を使用し、本体と一体成形されているものが多い
  2. 金属製のカッター刃:
    薄い金属板をギザギザにプレス加工したものが一般的で、非常にシャープで耐久性に優れているのが特長
カッター刃の種類。(左)プラスチック製/(右)金属製 図4 カッター刃の種類。(左)プラスチック製/(右)金属製[クリックで拡大]
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