本連載「100円均一でモノの仕組みを考える」では、実際に100円均一ショップで販売されている商品を分解/観察して、その仕組みや構造を理解しながら、製品開発の過程を考察していきます。連載第15回のお題は、“紙をとじる”というシンプルな用途で広く使われている身近な文房具「ホチキス」です。
本連載は、実際に100円均一ショップで販売されている商品を分解/観察し、その仕組みや構造を理解して、製品開発の過程を知ることを目的としています。前回は、幅広い分野で利用されている手軽な工具「グルーガン」の仕組みを取り上げました。
連載第15回となる今回は、“紙をとじる”という非常にシンプルな用途で活躍する身近な文房具「ホチキス」を取り上げます(図1)。
ホチキスは、本体を握ると金属針(ホチキス針)が下り、紙を貫通し、裏で折り返されて固定されるという流れで紙をとじます。この一連の動作は、レバー操作に連動して自動的に行われます。
この動作の中で、さまざまな機構が連携して機能を成立させています。シンプルながら機構要素が満載のホチキスを分解しながら、その構造を探っていきましょう。
日常で何げなく使うホチキスですが、その内部は非常に綿密に設計された機械要素の集合体です。まずはその部品構成を見ていきましょう(図3)。
ホチキス針を装填(そうてん)するスペースです。
ホチキス針を押し出すための部品です。
スプリングの力によってプッシャーを前方に押し出します。
押し下げ板のことで、マガジンから押し出された針を紙に打ち込むための金属パーツです。
本体下部にある、紙を貫通したホチキス針の先端を曲げるための台です。
紙を貫通し、曲げられて固定される金属製の針です。
上部の持ち手で、力を与える側です。
下部の持ち手で、力を受ける側です。
このように部品はそれぞれシンプルですが、これらを最適に組み合わせることで毎回確実に“紙をとじる”動作が実現されています。各部品は互いに連動しており、どれか1つ欠けても正常に動作しません。
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