それでは実際の使い方に沿って、それぞれの構造を見ていきましょう。
ホチキス針が装填される前は、プッシャーがスプリングに引っ張られて一番先端にあります。マガジンに針を装填するときはプッシャーを下げてホチキス針を入れます。装填されたホチキス針はスプリングとプッシャーで先端へ押されます。常に針が前に送られることで、連続してとじる動作が可能になります(図4)。
力を込めてハンドルを握ると、ドライバーが先頭のホチキス針を下方向に押し下げ、紙を貫通します。ドライバーは針全体に均一に力をかけられるよう、平たい板状になっています(図5)。
ホチキス針は紙を貫通すると同時に裏側のクリンチャーに当たり、クリンチャーの溝に沿って曲がります。これにより「紙を貫通する⇒固定する」という一連の工程が完了します。クリンチャーの溝形状によって左右の足が均等に曲がるようにもなっています(図6)。
ハンドルを離すと自然に元の位置に戻ります。これはハンドルの裏側に板バネが仕込まれており、このバネの復元力によってドライバーとハンドルが元の位置に戻るためです(図7)。ハンドルとドライバーが元の位置に戻ると、スプリングの力で次のホチキス針が先頭に送られ、再び準備完了となります。
紙の重なり厚さ、紙繊維の方向、針の剛性などがバランス良く設計されており、軽い力でも確実にとじられるよう工夫されています。
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