enmono宇都宮氏 松崎さん、楽しそうですね(笑)。
松崎氏 楽しいです(笑)。今は、「自分が何に興味があるのか」しか、興味がなくて。
enmono宇都宮氏 それは、インハウスデザイナーの時とは全く違いますね。
松崎氏 インハウス時代は最新情報を詰め込んでいました。いかに新しいモノ、面白いモノを提案するか、その一点で。でも、突き抜け過ぎてしまって、「自分って何?」と。病院に隔離されると、情報が入ってこないんですよ。入院して人生観が変わって、体重も半分になって健康になって、ある意味生まれ変わったんです。
enmono宇都宮氏 自分自身を見つめ直す時間は必要ですよね。個を出していかなければならない時代に変わっても、それができない人は多いです。トレーニングが必要な方は、このアトリエに情報を遮断しに来てください。
松崎氏 ここは足立区なんですけれども、陸の孤島と呼ばれていています。情報がシャットアウトされるので、いろんなことを妄想できるんです。時間の感覚がなくなりますよ。壁の時計は全部、時間がばらばらで、どれも合っていません。
enmono宇都宮氏 アフリカにいるような感覚です。自分自身を見つめた後であれば、情報を上手く取捨選択できるでしょう。
松崎氏 自分にとって必要なものが整理されます。
enmono宇都宮氏 最後に、松崎さんが考える未来の家電の在り方とは?
松崎氏 モノはたくさんあります。「この中から選んでください」ではなく「我が社はこれです」と言えるような力強いプロダクトを生み出すメーカーが必要です。メーカー自体が断捨離する時代になってきていると感じています。こだわる部分がブラッシュアップされていって本格的に方向性を決めたメーカーが、どんどん出てきたらいいですね。そういう部分では、日本は土壌はあるので。
enmono宇都宮氏 眠っていますよね。
松崎氏 私やenmonoさんは、眠れる獅子を起こす役割。日本のモノづくりは、昭和20年代あたりから半世紀たちました。モノづくりの概念が180度変わる時代が、半世紀たった今じゃないかと思っています。新しい価値付けをしていく時代に、いよいよこれから入っていくのではないでしょうか。マスに受けるモノって、受けなくなってきていますよね。ある一部の人に受けるものの方が、尖っていたり。個々が考えるモノづくり、小さなメーカーに期待する時代で、それはenmonoさんに共感する部分です。
enmono宇都宮氏 本日はありがとうございました。
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