モノづくり特化型クラウドファンディングサイト「zenmono」から、モノづくりのヒントが満載のトピックスを紹介する「zenmono通信」。今回は、中辻金型工業 総括部長の戸屋加代氏にお話を伺った。
本記事はモノづくり特化型クラウドファンディングサイト「zenmono」から転載しています。
enmono 第102回放送マイクロモノづくりストリーミング、本日のゲストは中辻金型工業 総括部長の戸屋加代さんです。よろしくおねがいします。
戸屋氏 よろしくお願いします。
enmono われわれが運営しているzenmonoというクラウドファンディングを使ったメイカーズプラットフォームでは、今回紹介する中辻金型工業さんの「東大阪にこども金型職人を生み出す発信基地を作りたいねん!」というプロジェクトを展開しております。一般の人たちにはなじみの少ない金型というものを知ってもらいたい、そして日本の製造業を盛り上げていきたいというプロジェクトです。まずは中辻金型工業がどういう会社なのか教えてください。
戸屋氏 中辻金型工業は東大阪でプレスの金型をメインに製造しています。現社長が創業して42年、私が入社して14年になります。営業品目としてはプレス金型の製造販売、プレス製品を完成品にするまでを請け負っております。あと、“町工場の街”である東大阪という立地を生かして、さまざまな業者の方や工場と提携しながらメッキや塗装段階まで仕上げて提供することもあります。
enmono 今回、どういった思いから「東大阪にこども金型職人を生み出す発信基地を作りたいねん!」プロジェクトを立ち上げようと考えたのでしょうか。
戸屋氏 目の前に迫る危機として、倒産や後継者の問題による廃業などで金型屋が本当に少なくなっているという状況があります。こうした状況の中で、金型の技術を継承していくにはどうすればよいのか、という悩みがありました。ただ仕事をする中で「金型製造に携わっている人以外には、金型というのはよく分からないものなんだ」という実感を抱えていました。これをどうにか解消したいと思った時に、まずは自分たちのことを知ってもらう必要があると考えました。
もちろん私も中辻金型工業に入社した当時は金型については知りませんでしたし、仕事をしながら覚えました。ではこうして得た知識をどう伝えていけばいいのか。そこで立ち上げたのがこのプロジェクトです。これは中辻金型工業の工場の一角を利用して、「知る」「体験する」「作る」という3つをテーマに、企業、個人、大人から子どもまで、作りたい人、作る人が集まってモノづくりの楽しさを発信する情報拠点「enjoy mono」を作ろうというプロジェクトです。
「知る」では、セミナー形式でモノづくりの素材や工法について知ってもらうことを目的としています。中辻金型工業であれば、自分たちが手掛ける金型やプレスについて説明します。その他にも塗装屋さんやメッキ屋さんなど、異なるモノづくりを手掛けている企業にも説明してもらいます。
それぞれがどんなことを行っているのか、というのを掘りさげて説明してもらえれば、今までモノづくりに触れたことがなかった人にも関心を持ってもらえると思うんです。実際の現場の人や、会社で仕事としてモノづくりに携わってる方にお話をしていただきたいっていう意図があります。あと私たちの工場の社員も、自分たちの仕事以外のことを知りたいと考えていますし、実際に話を聞くとイメージできますし、「後のメッキの処理でこういうことするからここを注意しないといけない」というようなノウハウもだんだん分かってくる。
ennmono そこで勉強することで、ほかの会社と連携する時の工程が短くなったり手戻りがなくなったりという効果もあるわけですね。
戸屋氏 そうですね。一方でこうした説明会に来ていただいた業者さんには、私たちがやっているプレスがどういうものかを知ってもらうことができると思うんです。このように「知る」という部分では、製造業、モノづくりに携わる方にそれぞれの専門を語っていただくことで、モノづくりがどういうものなのか多くの人に知ってもらいたいと思っています。
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