「分かりやすい日本語を書けますか?」と質問されたら、読者の皆さんは何と答えますか?
小山田和成(オヤマダカズナリ)
中小ソフトウェアメーカーに勤務するエンジニア。入社8年目の30歳。技術力においては社内から一目置かれる存在で今年から係長に昇格。しかし、奥手な性格でコミュニケーションは苦手。通称「カズ君」。
杉本麗子(スギモト レイコ)
外資系ソフトウェアメーカーにて人事部長を歴任。その後、中小企業診断士を取得して独立。現在は、「ツンデレ」キャラを生かして売れっ子の人事コンサルタントとして活躍中。通称「レイコ先生」。
*編集部注:本記事はフィクションです。実在の人物団体などとは一切関係ありません。
カズ君、元気? 新しい1年がスタートしたわね。今年もよろしくね!
レイコ先生、こちらこそよろしくお願いします。
あら、新年早々落ち込んでいるみたいね。何かあったの?
実は、新年だからはりきって新しい企画を提案したら、企画書の書き方をダメだしされてしまって……。
別に、書き直せばいいじゃない。
そうなんですけど、文章を書くことには少し自信があったのでショックで……。今は何もやる気がしません(泣)。
ウジウジしない!! そんなちっちゃなプライドなんて捨てておしまいなさい!
ヒィーーー!!
……まあいいわ。そんなネガティブ思考でいると、今年を良い1年にするには厳しいと思うわよ。今日は文章作成の基本について教えてあげるわね。
ありがとうございます!
「分かりやすい日本語を書けますか?」と質問されたら、読者の皆さんは何と答えますか? 「日本人なんだから書けるに決まっている!」、「あんまり自信ないな」などいろいろな答えがあると思いますが、まずは、例文1を読んで直す所があるか考えてみましょう。
【例文1】彼は泣きながら家を出た彼女を追いかけた。
上記の文章ですが、誤字脱字があるわけではありません。意味も通じるはずです。日本語として文章は成り立っています。しかし、「分かりやすいか?」という観点でいえば、分かりにくい日本語です。なぜなら、泣いているのが「彼」なのか「彼女」なのか分からないからです。
「彼が」泣いているのであれば、以下のような文章にすべきです。
家を出た彼女を彼は泣きながら追いかけた。
反対に、「彼女が」泣いているであれば、以下のような文章にすべきです。
泣きながら家を出た彼女を彼は追いかけた。
例文1がなぜ分かりづらかったかというと、主語である「彼」と述語である「追いかけた」が離れた位置にあったからです(詳しくは後述します)。このように「日本語が書ける」と「分かりやすい日本語が書ける」には差があります。前回の記事で解説したプレゼンテーションなど話すスキルと比べると、書くスキルは、自分自身がどのレベルにあるのか客観的にチェックしづらい面があります。しかし、仕事は電子メールや報告書など文章を書く機会が多いので、文章作成能力の差が効率や成果などパフォーマンスに大きな影響を与えます。
今回は以下の3つの点について「分かりやすい日本語」を書くためのポイントを解説します。文章作成の基本について学ぶと共に、自分自身のレベルを改めてチェックしてみましょう。
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