家電やロボット、自動車などさまざまなモノづくりの分野でベンチャー企業が躍進している。2007年創業のCerevo(セレボ)もその1つだ。インターネットと連動するさまざまな家電の開発によって注目を集める同社社長の岩佐琢磨氏にインタビューした。
安倍政権が進める成長戦略に、ベンチャー企業の創出・支援が組み込まれるなど、日本国内のベンチャー企業への注目が集まっている。WebサービスやPCやスマートフォンのアプリケーションのようにソフトウェア開発を手掛ける企業だけでなく、家電やロボット、自動車といったモノづくりが必要な分野でもベンチャー企業が成功を収めつつある。
2007年創業のCerevo(セレボ)は、インターネットと連動するさまざまな家電を開発しているベンチャー企業だ。Consumer Electronics(家電)をRevolution(革新)するという思いが込められたCerevoという社名の通り、ユニークな製品をグローバルに展開している。
2003年に松下電器産業(現パナソニック)に入社して商品企画を担当した後、Cerevoを立ち上げた社長の岩佐琢磨氏に、同社を起業した経緯やベンチャー企業がモノづくりを手掛けることの意義や大変さなどについて聞いた。
MONOist パナソニックを退社してCerevoを立ち上げようとしたきっかけは何だったのでしょうか。
岩佐氏 大企業の開発体制では、“尖った”製品を作れないということが一番大きかったですね。大企業はマスプロモーションをする前提で社内組織が動く体制になっています。そのため、まだ確立していない市場にチャレンジするような“尖った”製品を開発するのはとても難しいんです。
2003年に新卒でパナソニックに入社した当時は、そういった部分までは分かっていませんでした。当時はまだソニーの「ウォークマン」が印象的でしたし、大手電機メーカーなら研究開発部門もあるので、自分も“尖った”た製品が作れるにではないかと思っていました。でも、現実はそうじゃなかった。他の大手メーカーに転職しても、“尖った”製品を開発できないという状況は変わらない。それならもう、自分で立ち上げるしかないなと思って起業することを選びました。
MONOist Cerevoが最初に発売したのはカメラの「CEREVO CAM」でした。家電の中でも、最初にこうした製品を手掛けようと考えた理由には何があったのでしょうか。
岩佐氏 最近、米国のWoodman Labsが開発した「GoPro」というアクションカメラが話題になっていますよね。あの製品が成功した理由の1つに、「人に見せたくなる映像を撮影できる」ということがあると思います。GoProで撮影した映像データを、インターネット上にアップロードする。映像データを見た人たちは「これはどうやって撮影したのか?」と考えて、最終的にGoProという製品の存在を知るという流れです。
自分は、Cerevoを立ち上げた時から今まで一貫してインターネットとハードウェアでイノベーションを起こす製品を作りたいと考えています。当時は、今ほどではないですが写真を撮ってネットにアップするという文化が形成されつつあったので、GoProのような広がり方をするものを開発しようと思ったんです。CEREVO CAMは、写真や映像を撮ると、それをとにかく簡単にインターネット上にアップロードできるカメラにしようと考えて開発した製品です。今ではGoProの例があるから伝わりやすいですが、当時はIoT(モノのインターネット)という言葉もなかったので、こういう製品コンセプトは伝えにくかったですね。
デジカメとしては花開かなかったCEREVO CAMですが、撮影した動画を見て「どうやって(Ustreamで)生放送してるんだろう?」と思った人が、こんなカメラがあるんだと思って購入してくれるという流れで、最終的には数千台売れました。
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