文章を書く上で、対象の補足説明をする「修飾」は欠かすことができません。そのため修飾の関係性が不明確だと途端に分かりづらい文章となってしまいます。分かりやすい修飾の関係には、図1のように「1つの語が1つの語を修飾する場合(1対1)」と「複数の語が1つの語を修飾する場合(n対1)」の2つのパターンがあります。
一方で、分かりづらい修飾の関係には、「1つの語が複数の語を修飾する場合(1対n)と「修飾する順序が悪い」があります。例文4を見てみましょう。
【例文4】早く打ち合わせを終えて帰りたい。
例文4は「早く」が図2の赤線で示したように「打ち合わせを終えて」を修飾するか、「帰りたい」を修飾するのかが分かりづらくなっています。これが「1つの語が複数の語を修飾する関係(1対n)」です。
意味は通じてしまうのですが、書き手の真意が「打ち合わせを早く終えたいのか」、「早く帰りたいのか」ははっきりしません。修飾関係をはっきりさせるためには、以下のように修正します。
修飾語と被修飾語を近づけることで、1つの語が複数の語を修飾する(1対n)関係」を「1つの語が1つの語を修飾(1対1)関係」へと変えることができます。こうすることで、誰が読んでも誤解が生まれない分かりやすい文章になります。
分かりやすい修飾の関係には「複数の語が1つの語を修飾する場合(n対1)」があると上述しましたが、この場合、修飾語の順序が悪いと分かりづらい文章になってしまいます。例えば、1枚の紙があるとします。その紙には以下のような特徴があります。
上記の3つの修飾語を1つにまとめて「紙」という単語を修飾するときに、どのような順序にすればよいでしょうか。何も考えずに1から3の順で並べてみると例文5のようになります。
【例文5】黒い光沢のあるラインの引かれた紙
これでは、図3のように黒くて光沢があるのは「紙」ではなく「ライン」だと思ってしまい誤解が生じます。
では、どのようにすれば本来の意味が通じるようになるのかというと、以下のルールに基づいて修正します。
(修飾語のかかる順番を適切にした上で)「長い修飾語を先に、短い修飾語を後に」
そうすると、図4のように「ラインが引かれた」「光沢のある」「黒い」のそれぞれが「紙」を修飾していることが明確になり分かりやすい文章になります。
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